「べつに家出じゃないよ。」 「そうなんだ。でもきっと待っている人がいるんでしょ?」 彼女は優しく微笑んで言った。夕日に染まった赤い髪が風になびいて揺れていた。ただの若い女性のようだが、彼女の中にある何かが自分を近寄らせない。 どこか、心にかかるものを感じる。 「・・・・・。」 そんな思考を読み取られたのか彼女はさらに微笑んで言った。 「いい子ね。あの人仕込みかしら。でも、そんな顔してたら斬られちゃうから、負けそうでも笑ってなさい。」 「え。」
「おにーちゃん!!どこー!!」 頭上で聞きなれた声が響く。
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