ふうこの英国留学日記-その後

2002年04月18日(木) ユダヤ人の歴史とイタリア人よりイタリア料理のうまい日本人

フィールドワークも授業がある日は今日で終わり。長かったような短かったような。。。しかし、なんだか疲れが溜まっていて、団体行動をするのは二週間が限度かも?と思う。

今朝はベニスに新ゲットーにあるユダヤ美術館(Jewish Museum)へ。ちょっと遅刻した私たちは走りに走って、汗をかきかきゲットーの広場に到着。今日も良い天気で暖かい。
ユダヤ美術館はとても小さく、観るものは私にははじめてのものばかりで、正直よく理解できなかったけれど、係員による英語のガイドツアーがとてもわかりやすく、興味をそそられた。Synagoguesと呼ばれる、ユダヤの教会がビルのなかにいくつもあって、ユダヤ人の信仰の厚さと、彼らの迫害されつづけた歴史を感じた。
ベニスは中世ヨーロッパで信教の自由を認める数少ない場所だったが、ユダヤ人はゲットーに住むことを強制され、夜間はゲットーの門は閉ざされ、外部に出ることを禁止されていた。その限られた居住区の中に彼らはビル中ににSynagogues(シナゴーグ)を作り、彼らの信仰生活とコミュニティー築き、守ってきたのだ。
第二次世界大戦の時には、ナチスにより200人以上のユダヤ人がベニスのゲットーから連れさられ、戻って来たのはたった4人しかいなかったという。新ゲットーの広場の壁には、その二度とベニスの地を踏むことの出来なかった犠牲者の名前が刻まれた記念碑が建っていた。
お昼は天気が良いし、最終日でもあるので、ここは観光客っぽくサン・マルコ広場のカフェ・フローリアンで過ごすことにする。このカフェはカサノバも、バイロンも、プルーストもここでコーヒーを楽しんだというベニスで一番老舗。カフェでのクラシックの生演奏を聞きながらゆったり、のんびり。
午後は、イコン美術館へ。ここで、ビザンチン美術のイコンをいっぱい見る。イコンはコピーして同じものを作ろうとするのでマリアのおんなじ顔がいっぱいあってなんだかおかしかった。
午後3時、今度はスコーラ・サン・ジョルジョへ行き、カルパッチョの聖人の生涯のシリーズを見る。私はドラゴン退治をする聖人、サン・ジョルジョの絵がお気に入り。姫を助けるためにドラゴンを殺すというのも、中世騎士物語りのようで見ていて楽しい。
しかし、実際はドラゴンは異郷の象徴で、姫はその町の象徴だというので、異教を信じる町をキリスト教が武力によって支配し、キリスト教に改宗させたというキリスト教の勝利を勝利を象徴的に描いた話だという。
とにかく、カルパッチョはお気に入りの画家なので、ここは面白かった。
ここを見終わってまとめの話を先生から聞くともう5時過ぎ。
最終日だということもあって、みんなでバーに行くことに。先生を囲んで話をする、イギリス人のクラスメイトからは日本のことを聞かれたりしてとても楽しかった。ビアズリ―が好きだというクラスメイトが、ビアズリーにおけるジャポニスムの影響を語ってくれたり、雑誌で見たけど日本のスクールガールはすごく不思議なファッションをしてるねと言われたり。
男のクラスメートがワインをおごってくれて、二杯も飲んだら、疲れと空腹のせいかかなり酔っ払ってしまった。6時半過ぎに解散し、Hさんに電話。今から行くと連絡をする。
7時過ぎにHさんの住むリド島に着き、手土産に閉店間際のジェラートショップに立ち寄り、ジェラート二種4人分を詰めてもらう。溶けないようにと早歩きで彼女の家に向かい呼び鈴を押すと、窓から顔を出して迎えてくれた。ひとまずジェラートを冷凍庫にしまうと、彼女と散歩がてら彼女のイタリア人のご主人を近所のバーまで迎えに行く。
ご主人はジェラートが大好物で、私がジェラートをお土産に持ってきたことを彼女がイタリア語で話すと、「それはでかした」と言っていた。
もどって三人で食事、今日は来ることがわかっていたのでフルコース用意したのよという。ああ、彼女の料理は素晴らしかった。まず、前菜に茹でたカリフラワーにナスとピーマンの塩漬けを合えたもの。からすみのスライスとにんにくのパスタ。次にルッコラとトマトのサラダ。そして白身魚にトマト、パセリ、セロリのソースのかかったものをポテトで囲んでおーぶんで焼いたメイン。そしてデザートは焼き洋ナシと私のお土産のジェラート。美味しいので、これ以上は食べられないというところまで食べてしまった。シンプルだけど、塩かげん・茹で加減、バランスがとても良い料理ばかり。正直言って、Hさん連れて行ってくれたレストランよりも美味しいと言うと、「イタリア料理はシンプルだからちゃんと作れば、家庭料理の方が美味しいのは当たり前」と言っていた。

この夕方、ミラノにて小型飛行機がビルに突っ込んだ事件が起こり、三人でテレビに釘付け。第二のNYかとイタリアのマスコミも最初は驚愕していたようだった。

夕食のあとは、リビングに移ってコーヒーを飲みながら女同士で日本語のおしゃべり。話題はHさんのパソコンの話、私のプレゼンの話、キリスト教についての話。人生についての話。外国に住むということなど。あっという間に時間は経ち、11時半となったのでHさんが水上バスに時刻表をチェックしてくれたところ、なんと11時40分のリド島発が終バスということに気づき、慌しく別れのハグをして彼女の家を後にする。

アパートに戻ると、Mもさっき帰ってきたばかりでシャワーを浴びている最中だった。ベッドに入ってから夜中の3時までかかって塩野七生の「海の都の物語下巻」を読み終え満足して眠りにつく。


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