2003年03月27日(木) |
フィンランドはまだ雪の中 |
先日、フィンランドに帰ってしまった友人にメールを書いたら、すぐに返事がきていてとても嬉しかった。彼女は半年ぶりに故郷に帰ったばかりで、1人暮らしの家ですぐにインターネットができないかも、と言っていたので、あまり返事は期待していなかったのだ。
今日は、多くの友人から連絡やお誘いがあり嬉しかった。 日本人と韓国人の女友達からは別々にディナーのお誘い。 他、イギリス人の友達からもランチに誘われ、イタリアのアルベルトからも電話をもらった。 でも、一番嬉しかったのは、「フィンランドではまだ雪が積もっています。」 という彼女のメールだった。
彼女は交換留学生だったので、私たちより一足先にコースを終え、フィンランドに戻った。そして、フィンランドの自分の属している大学で比較文学の修士課程を続ける。 彼女はうちの学部の学生の中では、特異な経歴の持ち主で、医学部卒業後緊急医療の医者としてフィンランドの病院に勤めた後、国境なき医師団に参加し、エルサルバドルに2年間いたという。英語とスペイン語とスウェーデン語ともちろんフィンランド語を話し、山を歩くのが趣味という人である。 彼女と最初に話した時の印象は強烈だった。正直、頑固で変わった人だと思った。 クラスでグループディスカッションをしたときに、あなたが英語でよく読むものはなんですか?、それを読む目的はなんですか?という一般的な質問にたいして、新聞とか教科書とか他の人が答える中で、彼女は最新の情報を得るためにサイエンスの専門雑誌を読むと言った。それ以外の雑誌はあまり読まないと。 くだらない雑誌を色々読む私はそれを、珍しく感じたので、それは珍しいね。と言ったら、どこが?私にとっては当たりまえです。と彼女に言われ、ちょっと趣味に偏りのある人なのかなと思った。 今から思えば、私の了見は狭かったと思う。文系の学部だが、サイエンスに興味を持つ人がいてもおかしくはない。
だが、その後、彼女がアルベルトのフラットに引っ越してから、顔を合わせることも増え、親近感を感じるようになった。アルベルトから彼女が実は緊急医であることを聞くと、彼女に対する謎が解けた気がした。 ある日、2人で話しているとき、彼女は私に自分が医者であることを自分から私に話してくれた。私はアルベルトからは聞いていたが、知らないふりをしていたので、彼女からそのことを話してくれて嬉しかった。医者だというと何で今さら文学や翻訳を勉強するの?と言われるけど、緊急医はとても辛い仕事で、長い間働いてきて、他の事を勉強してみたくなったのよ。と彼女は静かに言った。彼女はSF小説が好きで、将来SF小説を訳せたらいいなと思っているとも言った。私は、思わず、すごくいいね。と今は医療ネタのSF小説も増えているし、医者から小説家になる人もいるしね。と強く頷いた。 私は彼女の考え方がとても好きだと思ったし、本当に彼女が将来SF小説の翻訳家になったらなんて素敵だろうと思った。
彼女へのメールの最後に、「アルベルトはあなたがいなくて淋しいとうるさいくらい騒いでいます。もちろん私も同じ気持ちです。夏には休みをとって、ぜひイギリスへ戻ってきてください。皆で待ってますから。」と書いた。 彼女は「そう言ってくれてありがとう。仕事(医者の)しだいだけど、夏にはぜひ休みをとってイギリスに行きたいと思っています。」と書いていた。
来週はスキーに行くそうだ。
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