祖母の容態が変化した。またひとつ生命としてのエネルギーレベルが下がったようだった。。うめき声も少なくなって、おっとりと静かな表情で眠るような感じの状態が増えた。容態が悪化したというのに、祖母の顔が苦しみからうっとりとした表情に美しく変わった気がした。不思議だ。 母に言それを、「そう、綺麗になったよの。。」とうなづいていた。
祖母のそばに座っていたら、母がちょっとこっちにいらっしゃいと言うので 居間に行ってみると、祖母が大阪から持ってきたアルバムや写真が広げられていた。そこで祖母の17歳のときの写真を見た。 写真の中の祖母は女子高のセーラー服を着て、目の力が強く、眉もきりっとして若い頃の私の母にそっくりだった。その後、祖母の60歳のころの写真を見ると、今年還暦を迎えた母とはまったく違った人相になっている。
同じような素地を持っていても、違ったタイプの人生を歩むことで女の顔は恐ろしいほど変わる。祖父が死ぬまで和服を着て、祖父に尽くしていた祖母の顔はその柔和さとともに、消極的・受身な雰囲気を身につけていった。
私は30年後、まだ生きていたらどんな顔になっているのだろう。 顔はその人の生き方の履歴書だと思う。 昔は男は、自分の顔に責任を持たなくてはいけないといわれたが、今は女もそうだと思う。
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