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2007年12月31日(月) 2007年度 内外十大ニュース

2007年度 内外十大ニュース




 共同通信と加盟新聞社、ラジオ・テレビ契約社の報道責任者らが選んだ2007年の10大ニュースが決まった。

国内ニュースは夏の参院選での自民党惨敗と「ねじれ国会」、安倍晋三首相の突然の辞任と、政局の大変動が一、二位を占めた。さらに年金、防衛省疑惑、食品偽装など、国民の不信・不安を示す暗い話題がずらりと並んだ。

 国際ニュースでも、米サブプライムローン焦げ付きに端を発した金融不安、原油、穀物価格高騰など、今後の経済、生活に直結する不安要因が上位を占めた。 ゴア米前副大統領らのノーベル平和賞受賞は、待ったなしの気候温暖化対策への関心を高め、ポスト京都議定書への動きも出始めたが、実行はこれから。 誰もが困難な時代の到来を予感する一年だったといえる。来年は米大統領選。国内政局は解散・総選挙含みで推移する。さあ、どんな年になるか。


●【国内十大ニュース】

 亥(い)年の今年は統一地方選、参院選と選挙続きだったが、参院選で自民党は歴史的惨敗。都市と地方の格差拡大、低所得の若者の増加など「構造改革」のひずみに対する国民の不満が爆発した。参院の与野党勢力逆転に伴う「ねじれ国会」がその象徴となった。

 安倍晋三首相の唐突な退陣で、後継となった福田康夫首相は当初の対話重視、アジア重視の姿勢が好感されたが、指導力不足から支持率はじり貧気味だ。その福田氏と、小沢一郎民主党代表との党首会談では「大連立構想」が突如浮上。構想を持ち帰った小沢代表の辞意表明―一転撤回の騒ぎに発展した。安倍退陣から小沢辞意まで、リーダーらしさを感じさせない振る舞いに国民はあぜんとさせられた。

 社会保険庁の不手際で「宙に浮いた」五千万件もの年金記録。防衛商社から約三百回もゴルフ接待を受けていた「大物前防衛次官」。老舗や有名店で相次いだ食の偽装など情けない話題ばかりだった。
 その中で、ヒトの皮膚から「万能細胞」を世界で初めてつくった山中伸弥京都大教授チームの成果は唯一、将来に希望を抱かせる明るい話題。

(1)参院選で自民党が歴史的惨敗

 参院選の開票速報に厳しい表情の安倍首相。右は汗をぬぐう自民党の中川幹事長=7月29日、東京・永田町の自民党本部
 7月29日投票の参院選で自民党は地方格差や年金の逆風を受けて歴史的惨敗。初めて参院第一党の座を民主党に明け渡した。参院与野党勢力の逆転で「ねじれ国会」が出現。与党は新テロ対策特別措置法案を衆院で再議決、成立させるため臨時国会を再延長。攻防は異例の越年へもつれ込んだ。


(2)安倍晋三首相が突然退陣。後任に福田氏

 党首会談を前に握手する福田首相(右)と民主党の小沢代表=11月22日、首相官邸
 参院選惨敗後も続投、内閣を改造した安倍晋三首相は9月12日、突然辞意を表明。後継は自民党総裁選で麻生太郎前外相を破った福田康夫元官房長官。11月、小沢一郎民主党代表との党首会談で大連立構想が浮上したが、民主党側の拒否で頓挫。小沢代表は一時辞意表明する騒ぎに。


(3)「消えた年金」で社保庁に怒り沸騰

 年金記録不備問題を受け、都内で謝罪のチラシを配る社会保険庁の村瀬清司長官(左)=6月8日
 該当者不明の「宙に浮いた」年金記録が約5千万件に上ることが2月表面化した。入力ミスなどを放置した社会保険庁は解体が決まる。自民党が「公約」とした名寄せは難航、来年3月までの解決は不可能になり、厚労相らの政治責任問題も浮上した。12月に記録確認のため「ねんきん特別便」の発送が始まったが、国民の怒りは収まりそうにない。


(4)防衛装備疑惑で守屋前防衛次官を逮捕

 東京地検の取り調べに向かう、前防衛事務次官の守屋武昌容疑者(左)と妻の幸子容疑者とみられる女性=11月28日、東京都新宿区
 防衛装備品調達をめぐる汚職事件で東京地検特捜部は11月28日、防衛専門商社「山田洋行」に便宜を図った見返りに約389万円相当のゴルフ接待などを受けた疑いで、守屋武昌前防衛事務次官と妻を逮捕した。守屋容疑者は今年8月退任するまで約4年間「天皇」といわれるほど権勢を誇った。今年誕生したばかりの防衛省の改革が早くも課題だ。

(5)止まらぬ食品偽装

 産地偽装事件で農林水産省に改善報告書を提出後、記者会見で謝罪する船場吉兆の湯木喜久郎取締役(右)と湯木佐知子取締役=12月10日、京都市内のホテル
 年明け早々、洋菓子チェーン不二家の消費期限切れ原料使用が発覚。その後北海道で豚肉を使った「牛肉コロッケ」、代表的土産「白い恋人」の賞味期限改ざんが表面化した。さらに伊勢名物の「赤福」、秋田の比内地鶏、大阪の「船場吉兆」など各地で賞味期限改ざんや原材料偽装などが続き、「食」の安全・信頼が大きく揺らいだ。


(6)「政治とカネ」問題。松岡農相が自殺

 事務所費などを巡り、「政治とカネ問題」が噴出、参院予算委員会の集中審議で、答弁の挙手をする安倍首相と松岡農相=3月13日
 「政治とカネ」問題の渦中にいた松岡利勝農相が5月28日、首つり自殺した。家賃ゼロの議員会館事務所に多額の事務所費や光熱水費を計上。「『何とか還元水』を付けている」とあいまいな弁明だった。後任の赤城徳彦氏も不明朗な事務所費計上で辞任するなど問題が噴出。共産党を除く与野党が1円以上の領収書を公開する政治資金規正法改正に合意したが、ガラス張りには遠い。


(7)能登、中越沖地震で原発の安全性に疑問

 新潟県中越沖地震による火災で煙が上がる東京電力柏崎刈羽原発=7月16日(第九管区海上保安本部提供)
 能登半島沖で3月25日震度6強の地震。7月16日には新潟県中越沖で震度6強の地震があり15人が死亡、2千人以上が負傷した。東京電力柏崎刈羽原発で火災や放射性物質を含む水漏れがあった。耐震基準を大幅に超す揺れや原発直下に断層の可能性など安全性に不安が広がった。


(8)テロ特措法期限切れ。海自が撤収

 テロ特措法が期限切れ、出港に際し甲板上に整列する海自の補給艦「ときわ」の乗組員。後方は護衛艦「きりさめ」=11月1日、インド洋(共同)
 テロ対策特別措置法が11月2日失効、5年11カ月にわたった海上自衛隊によるインド洋での米艦などへの燃料供給が終了した。燃料の対イラク戦転用疑惑も指摘された。参院選敗北で4度目の延長を断念した政府・与党は、活動を給油・給水に限定した新法案で早期再開をもくろむ。


(9)憲法改正手続きを定めた国民投票法成立

 与党などの賛成多数で国民投票法が可決、成立した参院本会議=5月14日
 憲法改正の手続きを初めて定めた国民投票法が5月14日成立。投票できるのは18歳以上、過半数の賛成で憲法改正案は成立するとした。投票2週間前のマスコミ報道禁止など厳しい規制も。公布後3年間は憲法改正発議を凍結。憲法審査会設置の動きはねじれ国会で遅れている。


(10)伊藤一長長崎市長が射殺される

 長崎市の伊藤一長市長が銃撃され死亡、現場を調べる長崎県警の捜査員=4月17日、長崎市
 統一地方選で4期目を目指し運動中の伊藤一長長崎市長が4月17日、暴力団組員に銃撃され死亡した。市とのトラブルが原因だったが、長崎市では前任の本島等市長銃撃事件も起きており、市民だけでなく全国に衝撃を与えた。




●【世界十大ニュース】

 世界経済に衝撃が広がった。サブプライムローン焦げ付きの深刻さが表面化し、米株価は暴落、世界の金融・証券市場に波及した。余波はまだ続いている。十年前に一バレル二十ドル前後だった原油は十一月には百ドル近くまで高騰、穀物価格の高騰とダブルパンチで世界の庶民の生活を圧迫した。中国も食品、玩具など輸出品の安全性が問われ、欧米で市場から排除する動きも出た。

 アジアでは、六カ国協議で北朝鮮の核施設の無能力化に合意し、米朝が急接近。拉致解決を最優先に掲げる日本との間で溝が生まれた。ミャンマーでは民主化を求める市民デモが武力で鎮圧された。取材中の長井健司(ながい・けんじ)さんを襲った悲劇は、軍事独裁政権の暴虐ぶりをあらためて知らしめた。

 地球全体の問題として、気候温暖化への関心が急速に高まったのも今年だ。平和で公正な社会を築き、環境を守りつつ持続的成長を続けることを人類はなし得るのか―。ゴア前米副大統領らがノーベル平和賞を受賞した背後には、そんな未来への問いも隠されている。京都議定書から離脱していた米国もようやく「バリ行程表」合意で協議に戻ってきた。


(1)米サブプライム問題で世界の経済・金融に混乱

 米サブプライム住宅ローン問題で、対策を発表するブッシュ大統領(左上)と、売りに出された米国内の住宅のコラージュ(素材写真はAP)
 信用力の低い人の住宅購入に対する米国のサブプライムローンの焦げ付きが急増し、8月に米株式市場は暴落、世界同時株安に。ローン債権を組み込んだ金融商品の価格も暴落した。米国は利下げ、返済利率の凍結などの対策を打ち出したが、市場を覆う先行きへの不安感は依然強い。


(2)原油が1バレル=100ドルに迫る。バイオ燃料で穀物価格も高騰

 マニラで燃料高騰に抗議し、対策を求めてストライキをする運転手らの団体=12月13日(AP=共同)
 11月にニューヨークの原油先物相場は、一時1バレル=99ドルを突破した。中東情勢の混迷、投機的資金が原油先物市場に流れ込んだことなどが原因で、サブプライム問題とともに世界経済の成長阻害要因になると懸念されている。バイオ燃料需要でトウモロコシなど穀物価格も上昇、食品価格の高騰を招いた。


(3)6カ国協議で北朝鮮の核無能力化などに合意。米朝が接近

 6カ国協議で、手を取り合う(左から)ロシアのロシュコフ外務次官、韓国の千英宇・外交通商省平和交渉本部長、北朝鮮の金桂冠外務次官、中国の武大偉外務次官、ヒル米国務次官補、佐々江賢一郎外務省アジア大洋州局長=9月30日、北京の釣魚台迎賓館(共同)
 9月の6カ国協議で北朝鮮が核の無能力化に合意し、米朝は関係改善に向けて急接近、テロ支援国指定の解除が焦点になった。ブッシュ大統領は12月に送った親書で金正日(キムジョンイル)総書記を「親愛なる(国防)委員長殿」と呼ぶなど敵視政策の変更をうかがわせ、拉致問題解決を最優先とする日本との溝が広がった。


(4)ミャンマーで反政府デモ。ジャーナリスト長井健司さんが射殺される

 ミャンマーのヤンゴンで、軍と警察に追われて逃げる市民を取材中に撃たれて倒れた長井健司さん=9月27日(ロイター=共同)
 僧侶、市民らによるミャンマーの民主化要求のデモは9月に10万人規模に達したが、軍が武力行使、多くの死傷者を出して鎮圧された。同27日、取材中の日本人ジャーナリスト、長井健司さんが兵士に撃たれて死亡した。


(5)地球温暖化への危機感が高まり、ゴア氏らにノーベル平和賞

 ノルウェーの首都オスロで行われたノーベル平和賞授賞式で、メダルを胸に掲げるアル・ゴア前米副大統領(左)と「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」のパチャウリ議長=12月10日(AP=共同)
 地球温暖化に警鐘を鳴らす映画「不都合な真実」を製作するなど温暖化問題に取り組んできたゴア前米副大統領と「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)がノーベル平和賞を受賞。世界の市民の関心が高まる中で、12月の国連気候変動枠組み条約第13回締約国会議(COP13)は「バリ行程表」に合意。ポスト京都議定書に向け一歩、歩み出した。

(6)英国首相、フランス大統領と欧州で指導者交代

 パリで顔を合わせたフランスのサルコジ大統領(左)と英国のブラウン首相=7月20日(ロイター=共同)
 英国労働党はイラク戦争をめぐる姿勢などが批判されたブレア氏に代わり、6月にブラウン新首相が就任。イラク戦争に反対したフランスのシラク大統領の後任には、保守系与党、国民運動連合党首のサルコジ前内相が社会党候補を大差で破って5月に当選。内相時代に移民政策などで強硬姿勢を示したサルコジ氏には極右の票も流れた。

(7)食品、玩具など中国製品の安全性への疑惑が噴出

 2004年に中国安徽省阜陽市で起きた「偽粉ミルク事件」の被害を受け、頭部が肥大した子供=06年1月(共同)
 米国で中国製のペットフードを食べた犬や猫が大量死したことをきっかけに、中国製の練り歯磨きや海産物、玩具などから相次いで毒性物質が検出され、「世界の工場」といわれる中国産品への信頼が大きく揺らいだ。

(8)米、イラクに部隊増派。一部で治安回復するも混迷続く

 イラクの首都バグダッド中心部で、爆弾テロの現場を調べる駐留米軍とイラク軍の兵士ら=12月2日(ロイター=共同)
 米国はイラクに3万人を増派。一部地域で治安は最悪時より改善したが、宗派対立や反米感情に根差したテロや武装闘争は続いた。トルコに越境攻撃を繰り返すクルド労働者党(PKK)掃討を理由にトルコが12月に空爆。新たな波乱要因に。


(9)金正日総書記と盧武鉉大統領が7年ぶりの南北首脳会談

 北朝鮮の金正日総書記(左)と歓迎式典に臨む、韓国の盧武鉉大統領=10月2日、平壌(韓国取材団・共同)
 韓国の盧武鉉(ノムヒョン)大統領は10月2日、韓国元首として初めて軍事境界線を歩いて越え、平壌で金正日総書記と2000年以来の南北首脳会談。朝鮮戦争終結宣言のため当事国の首脳会談を開催することなどをうたった南北首脳宣言に署名した。しかし12月の韓国大統領選では野党ハンナラ党の李明博(イミョンバク)氏が当選、10年ぶりの保守政権へ。

(10)イランの核開発で国連安保理が制裁決議

 国連安全保障理事会で、イラン追加制裁決議を採択=3月24日、ニューヨークの国連本部(AP=共同)
 イランの核関連活動に対し、国連安保理は昨年末に続き、3月に追加制裁を発動。独自の経済制裁を行っていた米国も10月に制裁を強化。安保理常任理事国にドイツを加えた6カ国を中心に核開発を中止させるよう圧力をかけていたが、米情報機関は12月、イランは03年に核兵器開発を中断していたとの分析結果を公表した。


カルメンチャキ |MAIL

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