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「槞梛俚庵(るなりあむ)


時折綴

2003年06月02日(月) 消えるプラネタリウム

また東京からプラネタリウムが消えてしまった―――。
大きな星がひとつ、死を迎えたような そんな気がする。

一昨年には、渋谷の五島プラネタリムが消えた。
ここは亡くなった母に、幼いわたしは手を引かれて
初めて行ったプラネタリムだった。

そして6月1日、池袋のサンシャインシティ・プラネタリウムが消えた。
他界した友人と、星の海を航海するヤマトを思い浮かべながら
夢を語り合った場所だった。

わたしの素敵な思い出には、必ずプラネタリウムが一緒だった。
どちらもとても とても大好きな場所だった。

そして、わたしのこころの大切な「癒やしの空間」だった。
それが消えてしまった。

満天に輝く星を見られるのは、東京では奥多摩あたりしか
もぅ残っていない。
だからたとえ作られた星であっても、プラネタリウムの星たちは
それを体験させてくれる大事な存在だった。

星を眺め、大宇宙に思いを馳せることは「夢」だと誰かが言った。
いつ行ってもガラガラにすいていたプラネタリウム
空も月も星すらも、見上げるヒトはどんどん少なくなってゆく―――

ヒトは、空に星があるということすら、忘れゆくの?
やがては夢なんていう言葉すら、紙くずと同じように
簡単に丸めて棄てられる時代になってゆくの?

台風一過、吹き返しの強い風に吹き払われた雲も
激しい雨に汚れた空気を洗い流された青空も、
今日はなんだか とても悲しい色に見えた。


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冰月まひな [MAIL] [HOMEPAGE]