Home Page
「槞梛俚庵(るなりあむ)


時折綴

2003年09月24日(水) 哀しみに区切りをつけて

23日は、お彼岸のお中日―――。

高く澄んだ秋の空を見上げながら、母の墓前に立った。
久しぶりに家族みんなで訪れることができた。

彼岸花が道の両脇に咲いている…。
とんぼがつい―― っと飛んできて、わたしの指先に止まる…。

幼い日、学校の帰り道、とんぼの群れ飛ぶ中で、友達たくさん
一列に並んで、指を一本立てて、誰の指に一番早くとんぼが止まるか競った。

夕焼けに染まった路地は、影が黒々と迫り、
紅葉が真っ赤に夕日に照り映えて燃えていた。
遅くまで遊んでいて、ふっ―― と顔をあげたら、
真っ暗な曲がり角から、妖怪が出てきそうで怖くなり、
走って家に帰った秋の日々―――

泣き虫で弱虫で、何をやってもぶきっちょな子供だったわたし。
母には、たくさん怒られた。
でも母の傍に居るのは好きだった。

思い出は走馬灯のよう
くるくる 通り過ぎて
顔をあげたら、そこには娘が微笑んで立っていた。

数十年の時間旅行をしたかのように
今 自分が何処にいるのか すぐに理解できなくて
何度も瞬きして立ち尽くす。
あの日のわたしと、娘の笑顔が重なった。

母の墓前で過ごす時間は、ゆるゆると
上空の雲が流れるようだった…。

お彼岸が終わって、わたしの哀しみもまた、日記が繰られるように
ひとつ区切りをつけて、古くなって過ぎてゆく。


 < 過去  INDEX  未来 >


冰月まひな [MAIL] [HOMEPAGE]