奇跡を信じて〜あれから〜
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 この日も忘れない

昨年の今日
2001年12月20日
この日のHの検査予定は
午前中に胃カメラ、午後は甲状腺の検査でした
Hの話ではI教授は胃カメラを入れ
「あるあるココに。サルコイドーシス間違いないな」と言われたとか
検査室から出て来たHは
「こんな苦しい検査二度と嫌」と涙目になっていた
私は
「まだサルコイドーシスで良かったじゃない
自然に小さくなり消失するって医学書にも書いてあったし」
そう私は言った

そして午後の検査までに時間があった為
私はHの自宅で待機した
電話が鳴りHの母が出て
「Rさん○○病院から」と私に変わる
嫌な予感
電話の相手はI教授ではなく午後の検査医のM先生
「今、肺のレントゲンを見せて頂きましたが
これから緊急CTの予約を入れます
出来る限り早くお越し下さい」こうおっしゃられました

病院に着くと看護婦さんに
「M先生が緊急でCTの予約を入れて下さったから」
そう言われ
その必要性を考え想像していく

時の流れがスローモーションになっていった
現実を受けとめたくない時
こう言った現象を起こす事が私にはある

そしてCTの後、診察室に移動し
M先生が緊急CTを行った必要性について
話し始めた

「肺腫瘍の疑いがあります」

そう言われた後M先生はI教授に連絡を取った
「私は○○(専門用語)だと思います」
電話の向こう側でI教授は否定している様で
「来週の私の診察日まで待て」と指示があったとか
M先生は
「一刻を争いますので
紹介状を書き他の医師に見て頂きます」
そう答えていた

そして
「I教授に私は後から叱られるかもしれませんが
これから他科の先生へ紹介状を書きますので
明日、もう一度来て下さい」そうM先生はおっしゃった

一刻を争う

一刻を争う程の病気
サルコイドーシスは?

そして予定通り甲状腺の検査を行った
首に針を刺し細胞組織を採取した
結果は来週

医学書を開き
Hは「これ」と小細胞癌を指差した
そこには無治療の場合、死亡まで数ヶ月である事
発見時にすでに全身へ転移していることが多い事などが
書かれていた
「まだわからないじゃない」私がそう言うと
「これしかないよ」
Hの表情は当然の事ながら重かった

翌日はM先生からの紹介で
他科を受診する事になっていた

何かの間違いでありますように
そう願うしかなかった

2002年12月20日(金)
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