-殻-

INDEXPASTNEXTNEWEST

2004年05月28日(金) 僕を見つけてくれた

すれ違ってばかりの君と僕は、
互いの居場所を見失ったままで、
それでもお互いを探していたみたいだ。

僕にとって君は、近くて遠くて、
いつまでもそこにいるような気がして、
でも一度も手が届いたこともなく、
気が付けばあの街を離れていた。

まさか君が、この広い世界で僕を見つけてくれるなんて。
ずっとずっと探していた、なんて言ったりして。

久しぶりの君の声は、本当にあの時のまま。
まるでつい昨日話したように、当たり前の言葉を交わす。

何もなかったみたいだ。
哀しい別れも、新しい暮らしも、叶わない夢も、
知らずに君だけを見ていたあの日みたいだ。

一度だけ抱き締めた、君の細いからだ。
あの時の湿った空気。
涙。


もう、はっきり僕等は気付いた。
決してお互いを失うことはないと。
それぞれにある自分の場所の中に、
僕は君の、君は僕のための部屋を持っていることに。

このままいつまでも、いつまでも続いていこう。
君の顔を見ることがなくても、
君の声を聞くことができる。
君を抱き締められなくても、
君が生きていることを、僕は、知っている。



INDEXPASTNEXTNEWEST
しんMAIL

Click here if you like it...↑

Add to your Favorite