-殻-
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仕事場の冷房は、天井から吹き降ろす造りになっている。
僕の左隣には君がいて、君の真上に吹出し口がある。 涼やかな風は、君の狂おしい匂いを巻き込んで僕に流れてくる。 溜息をつく振りをして、君の匂いを胸いっぱいに吸い込む。 気が遠くなる。 このまま君を胸の中に留めたいのを堪えて、ふうっと息を吐く。 この季節、空調は一日中、朝から晩まで付けっ放し。 机に貼り付いている間はずっと、君の匂いから抜け出せない。 僕を狂わせる気か、この風は。 君を力尽くで抱き締めて、その匂いを貪りたい衝動を、 この暑い夏の間中、抑え込める自信がないんだよ。 でも、もし僕の理性とか社会性が弾けて、君を抱いてしまったら、 君は二度と僕に笑いかけることはないんだろうな。 それは分かってるんだ。 だから、 血を吐いてでも、僕は耐えなきゃならない。 君は僕のものじゃない。 君は僕のものじゃない。 君は僕のものじゃない。 君は僕のものじゃない。 君は僕のものじゃない。 君は僕のものじゃない。 君は僕のものじゃない。 君は僕のものじゃない。 君は僕のものじゃない。 君は僕のものじゃない。 君は僕のものじゃない。 君は僕の INDEX| PAST| NEXT | NEWEST |