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ゲームオーバー 2■2002年11月20日(水)
(11月19日の続き)
生徒の彼氏の職場までは車で走ること30分ほどで到着した。
「一方通行の道ばかりだから、帰りは迷わないでね。」
そう言う生徒に対して、僕は、
じゃあ、近くで降ろすよ。歩いていけるだろ?
と返した。
彼女は驚いていた。
「え?怒ってるの?」
別に、怒ってないよ。
「うそ。キレ気味になってる。だって、いつもだったら“途中で降ろす”なんて言わないもん。ねえ、怒ってるの?」
そのとき僕は自分の気持ちを理解できてなくて、なんの説明もしなかった。
むしろ、ただもう、彼女の質問に答えることも、会話することも、いっさいを拒絶したかった。
小道を走ってすぐに彼氏の職場の看板が見えた。
「ここでいいよ。ありがとう。」
生徒はごく明るくと言った。
僕は車を停め、降りる彼女の顔も見ず、じゃあな、とだけ言った。
「ねえ、やっぱり怒ってない?」
うるさい、さっさと行け。
ドアを閉めさせ、僕はすぐにそこから去った。
もう、何もかもが嫌だった。
朝起きると、携帯に2時頃に生徒からメールが入っていた。
メールには、彼氏は性病でなかった、それでも病院に行くべきか聞きたい、そして昨晩は送ってくれてありがとう、と書いてあった。
僕が返事を返さなかったが、10時に彼女が新しいメールを送ってきて、病院へ行ったけど病気じゃなかったよ、と知らせた。
もう、焦り具合を見てられないからよ、彼氏にうしろめたいと思うようなことはするな、僕はそう返信した。
心は決まった。
もう、止めにしよう。
これ以上苦しむのは御免だ、気楽なただの家庭教師に戻りたい。
君がその彼氏のことをどれだけ好きなのかは分かったよ。
彼氏だけをまっすぐ見ているんだろ、ほかの男達が君をどう思おうが、その思いは伝わらないんだろ。
だから、ちょっと頼みごとがあるんだけどさ。
自分では諦めがつかないから、僕を手痛く振ってくれないか。
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