一日後記

2004年11月06日(土) 死に顔。

先日急逝した友人の葬儀から帰った実父は、実母にこう言ったという。
「俺が死んだら、棺の中は身内以外に見せないでくれ。」と。

何でも本人は見たくなかったのに、つい見てしまった友人の顔は
全くの別人に見えた上、やけに鼻の穴が大きく見えたそうだ。
それを見た時『こいつ、こんな顔してたっけ?』と
今までの記憶の中にあった顔に疑問が生じたらしい。
そのせいで自分の死に顔は見せたくないと、そういうことなのよと
実母は笑って話していた。

そこから何故か父方の祖父母(共に他界)の話へ。

私は小学校1年の時に亡くなった祖母も中学1年の頃に亡くなった祖父も、
どういうわけだか両方の死に顔というのを、まだ鮮明に憶えている。

祖父の場合はともかく(年齢もある程度いっていたので)
どうして憶えているのか解らないのは、存命中の記憶が全然ない祖母。
写真ではその祖母に抱かれて笑う私がいるのだが、
いかんせんその写真当時の私は2歳前後で
その後祖母とは長患いのため、殆ど会うことはなかった。
いわば久しぶりに会った祖母は既にこの世の人ではなく
私が生まれて初めて見た『死に顔』というのが、この祖母だったせいだろうか。
祖母の記憶というのは哀しいかな、この顔しかない。

そんな話をしていたら、実母は『両方共忘れたわよ、そんなの』と
あっさり言ってのけた。

「そんなの憶えてたら、生きてる頃の顔なんて消えちゃうでしょ。
 忘れなさい、そんなのは。」

それができたら苦労しないと言うと、間髪入れずに切り返される。

「だから○○○(私)とお父さんは年中胃が痛いとか言ってんのよ。
 私と○○○(愚妹)なんて、そんなことないもんねー。」
‥‥いつの間にか、死に顔談義から血液型談義に移行していたらしい。

ちなみに実父とその生き写しのような私はA型、
実母と愚妹はO型である。


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