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2004年11月01日(月)


■「慟哭」 貫井徳郎
前日に、マツモトキヨシで工藤静香の曲が流れていて、母とこの曲なんだっけ?とずっと言っていたのですが、家に帰ってふと手に取った本がこれ。”友達なんかじゃないと一晩中泣いて泣いて”…慟哭? 結構コワイ曲ですね。

幼児誘拐殺人事件をめぐる物語で、骨組みは2段構成になっていて、ひとつは警察サイド・佐伯の話。もうひとつは宗教団体サイド・松本の話。警察サイドは最後までなにひとつ動かないので、よく持たせたな…と思う。佐伯の心理面をわりと丁寧に書いてあるだけに、最後の最後のオチに、そんなことしている場合じゃないだろとツッコミを入れたくなる。そんなわけで、タイトルのような底の暗さというよりは、単に後味がよくない。宗教団体の方も、松本が入会するまでは面白かったのだけど、その後はちょっと大味すぎて残念。

これがデビュー作なんだそうで、24歳の作だとか。まとまりがよくて、描き方もよい感じなので、年取って深みがでたらものすごく面白いものを書きそうな気も。それにしても解説の北村薫氏はいいひとだなあ。