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2005年06月12日(日)


■「悪魔とプリン嬢」 パウロ・コエーリョ
コエーリョの本は面白いんだけど、何かが足りないという感じがある。何が足りないのかうまく言えないんだけど、表面的なものとしては密度が足りないというか。あと何かをいれれば箱がちょうどよくなる、という感じがします。でもいつも好感を持ってしまうので、なんだかんだいって好きなのかも。

さて、今回はわたしの苦手な悪魔もの。映画にしろ本にしろ、苦手といいつつ結構触れる機会が多いのは、キリスト教の人びとにとってはものすごくなじみのある存在なんだろうなと思います。キングの小説にもよく出てくるし。悪魔が出てくる話では「スワン・ソング」がとても面白かったです。

プリン嬢のお話は人の心の隙間に入り込む悪、といった感じで、わりとなじみやすく、エクソシストなどもそうだけど、一生懸命お話してお話して、出て行くかどうか決める、みたいのは面白いと思います。すぱっと呪術みたいなのを使って退治していくのも、それはそれで爽快なのですけど。

これは三部作なんだそうで、ストーリーに繋がりはないのですが、「ひとは7日間で変われる」というテーマが共通しているそうです。前作と続けて読んでみると、変わるということは、「自分を取り戻す」ということだと言えると思います。そう、で、プリン嬢も悪魔をつれてきた男も確かに変わったのだけど、彼女らを取り巻く人々のことはほったらかしにしたのは、いいのかなーいいのかなーと思いました。最後の結末にはまだ納得できていません。