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2005年08月17日(水)


■「ぶらん乗り」いしいしんじ
かすかに残酷さを感じるのだけど、それがあるかないかは大きなことのように思います。たとえば梨木香歩はないんだな。。いしいしんじの本はやっぱり一歩間違うと息が詰まって読めない気がする。。これはすべてがほどよくて、かつこれだけ深く透明な物語は初めて読んだかもしれない。電車のなかじゃなかったら泣いていたと思う。

■アメリカン・スプレンダー
借りられました。ひとことでいうと映画そのものがコミックになっているという感覚。「ロジャー・ラビット」とか「ラン・ローラ・ラン」のような感じでもなくて、本当に映画なんだけどコミックなんだな。これは初めての体験でした。

役者はみんな面白かったけど、主人公ハービー・ピーカー役のひとが、出てきた瞬間に見せたひどい顔(!)には特にくぎ付けになりました。怒っているわけでもないのだけど、あれはどういう表情なんだか(笑)。

しょうもない男の話なのかと思っていたら、性格はともかくとして、生き様としてはハービー・ピーカーは素晴らしかった。家族を養うことがテーマとインタビューで言っていて、ひたすら地味ではあるのだけど、いつのまにか彼自身がヒーローに見えてくるという不思議な作品でした。

ところで、わたしは予告編にはちょっとうるさいのですが(笑)、日本版にはNGを出したい。”ハートフルなラブコメ”みたいな予告なのですが、実際はオリジナル版に近くて、”ダメダメなんだけどハートはある”みたいな感じでしょうか。