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縁があってまだ公開が決まってない『ランドリー』という邦画を見させていただきました。監督・脚本はこれが初メガホンになる映画畑出身の森淳一。主演は窪塚洋介、小雪の二人。知的障害者の青年と悲しい失恋から窃盗癖を患った女性、不器用にしか生きられない二人の微妙な関係を軸にストーリーは進んでいきます。まぁ、よくある設定です。つい最近も『ミリオンダラー・ホテル』がそうでしたし、『聖者の行進』なんて野島ドラマもありました。この脚本はサンダンス・NHK国際影像脚本賞(この呼称は正しくないかもしれません!確か『彼女を見ればわかること』がサンダンス・NHK国際影像作家賞なんですよねぇ・・・。)受賞らしいです。最初、コインランドリーに勤める窪塚のモノローグで始まった映画は、いつのまにか小雪のモノローグに変わり、途中からはモノローグがなくなってしまい・・・そして、いつのまにかタイトルのランドリーからも離れていってしまいました。そんな映画でした。映画を見終わって思ったのは「確かに脚本はいいかもしれないなぁ・・・複雑な内容を丁寧に上手くまとめている。でもそのまま映画にしたら、ちょっとまとまりに欠けてしまった!ということか・・・」でした。つまり脚本というのはあくまで文章で、そこには実際の時の流れがありませんし、血の通った表情もありません。力のある演出家はフィルムに焼き付ける時、脚本では必要だったシーンでも実際に必要がなかったらCUTするし、逆に脚本に無くても必要だったら新たなシーンを追加するものです。その辺の引き算足し算が上手くいかなかった映画かもしれません。二人の恋物語は胸が締め付けられるほどに儚いのですが、映画そのものまで儚くなってしまっては・・・。
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