Deckard's Movie Diary
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| 2008年05月02日(金) |
ゼア・ウィル・ビー・ブラッド |
『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』 『今夜、列車が走る』のニコラス・トゥオッツォ監督と同じ37歳で、既に世界的名声を得ているポール・トーマス・アンダーソン(PTA)の新作です。今年のアカデミー受賞作品で一番期待していた作品でした。というのも『ハードエイト』で並々ならぬ力量を見せたPTAがその後の『ブギー・ナイツ』『マグノリア』と、その力技で引っ張り過ぎて、内容自体が何処かに行ってしまっていたのですが、前作『パンチドランク・ラブ』でやれば出来るじゃん!と、実にコンパクトにまとまった魅力的な作品を送り出したからです。原点回帰した後の2時間40分の大作!期待に胸を躍らせたのですが・・・やっぱり長いや・・・・・( ̄。 ̄ )ボソ。主人公が無骨だからって語り口まで無骨になる必要はないんですけどねぇ・・・もちろん、決してつまらない映画じゃないですし、長いとは言え、その力技は賞賛されるべきものですし、無骨な印象はそのままゴツゴツとした存在感を観る者の心に植えつけます。それでも、オイラにはここまで長い必要が感じられませんでした。上下巻で800ページを超える純文学の大作小説を“無理して”読んだ気分です。また、長いわりにはストーリーがスムーズに流れていない印象も残りました。話しは当然“血”がテーマで“血が叫べば実行すべし”“血で血を洗う”“血は水よりも濃し”“血も涙もない”“血よりも涙”とか、まさにBlood Sweat Tears & Madness のオンパレード!最後は頭に血が上ってしまい、後味の悪さは特筆ものでしょう。主人公ダニエル・ブレインビューの黒い血が求めていたのは欲望なのか渇望なのか・・・狂気の人物(ダニエル・ブレインビュー)を演じたダニエル・デイ=ルイスの存在感は素晴らしく、主演男優賞は当然でしょうね。ダニエルと対をなすイーライを演じたのはポール・ダノ・・・何処かで見た事のある役者だと思っていたら『リトル・ミス・サンシャイン』の無口のお兄ちゃんでした。今回は喋りますよぉ!また、いつものように音も含めた音楽のセンスが良いなぁ・・・と、感心していたら、音楽はレディオヘッドのジョニー・グリーンウッドだったんですねぇ!さらに、脱帽で御座います。それにしても、PTAは37歳ですか・・・37歳でこんな作品をモノにするって・・・すげぇーよ!
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