Deckard's Movie Diary
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| 2008年05月14日(水) |
光州5・18 最高の人生の見つけ方 ミスト |
『光州5・18』 「返してくれ!」と絶叫しながら自殺するキム・ヨンホ・・・言わずと知れた傑作映画『ペパーミント・キャンディー』の冒頭シーンです。そして、彼のトラウマになってしまう出来事が起きたのが光州事件でした。オイラは映画を観ている時はその背景が良く理解出来ず、観賞後にその事件のコトを知った輩です(/・_・\)アチャ-・・。その光州事件を真正面から描いたのが『光州5・18(原題は“華麗なる休暇”)』。いやぁ、凄まじいですね。内容は衝撃的で悲惨を極めます。また、兵役のある韓国は一般市民もヤルときゃハンパねぇ!です。登場人物もストーリーも、韓国映画にありがちなステレオタイプですし、全体に説明不足の感もあります。決して出来の良い作品ではありませんが、それでも一見の価値はあります。なぜなら、その国の恥部を堂々と描けるコトはその国の成熟度を示す度合いになりますし、何よりもオイラのような外国人がそういう作品に触れた時、国は違っても同じ人間として共感することで、その国を身近に感じることが出来るようになることです。「俺達は暴徒じゃない!」「私達を忘れないでください」と叫んだ彼らの思いはオイラにも伝わりました。ただ、光州事件をもう少し詳しく探っていくと、そこには韓国内での差別も内包されているらしく、その辺りが蔑ろになっていたのはちょっと残念だったのかもしれません。因みに原題の“華麗なる週末”とは作戦名のことだそうです。
話しは変わりますが・・・中国がチベット侵攻や天安門事件を映画化する時は来るんでしょうか?オイラが生きている間は無さそうですね・・・( ̄。 ̄ )ボソ 最近のチベット問題から関係が悪化しそうな中国でしたが、それでも、先日の四川省の大地震に見舞われた人々の話に接すると、何のわだかまりもなく頑張って欲しいと思います。
『最高の人生の見つけ方』 家族に恵まれた人、大金に恵まれた人、およそ人生の成功者と言える老人二人。ガンに侵され余命半年・・・死ぬまでにしたいことを金にモノを言わせてやりまくる!さすがにロブ・ライナーですから手堅い演出ですが、どうにもストーリーが鼻につきます!所詮、ボンビー人種には縁のない話しですからピンと来ません。それで“最高の人生の見つけ方”とか言われてもねぇ・・・。巷での評判は相当良いみたいですから、やはり日本人ってのは総じて幸せなんでしょうね。ぶっちゃけ、オイラは全く感情移入出来ませんでした。
『ミスト』 席につき居心地の良い座り方を見つけ“暗くなるまで待てない!”気持ちでいると、やがて場内の照明が消えスクリーンに画が入る・・・そして、フと我に返るとエンドタイトルが・・・全身から力が抜けて一気に押し寄せる脱力感・・・もちろん、眠っていたワケではなく、最初から最後までほとんど同じ姿勢のまま釘付けになっていただけなんですよ!稀な現象なんですけど、極たま〜に遭遇します。例えば『エイリアン』を観た時なんかも、気がついたらほとんど最後まで微動だにしていませんでした。この作品はそんな経験を久々にさせてくれた映画でした。まぁ、それだけでも凄いんですけどね。
オイラは原作を読んでいたので、その終末観溢れる異様な光景を目にした時には心の何処かで「これで終りだな」と勝手に推測してしまいました。ところが、映画は新たなエンディングを用意していてオイラは原作よりもう一歩踏み込んだ(ように感じた)このストーリーに唖然としてしまいました。もちろん、良い意味で驚かされました。この映画はパニックホラー映画の体裁をとりながら、人が日々の営みの中で様々な事態に遭遇した時に対応する、およそ人間の持っている総ての感情が描かれており、そんじょそこらの映画なんぞは足元にも及ばない人間味溢れる作品となっているのです。ちっぽけな人間の存在を強烈に意識させられる叫びのようなレクイエムが流れ、希望と絶望を一瞬で描いて見せたエンディングを観た時には鳥肌が立ったのですが、エンドタイトルに被さる効果音には人間の英知をも感じさせられました。人は間違いもおこすし、愚かでもあるけれど、捨てたもんじゃないのかもしれません。だから、最後まで信じることにします。
ところで友人が「映画はこの“現象が起きた要因”を描く事によって、物語が、あのクトゥルー神話に連なる作品である事を描いているのです。」と書いていたのですが、確かにその通りだと思うのですが、それなら原作と同じところで終わった方が良かったんじゃないでしょうか?最後にあのオチが付くと、ちょっと曖昧になるような気がしました。どうなんでしょうか・・・( ̄。 ̄ )ボソ
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