蜜白玉のひとりごと
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2002年03月14日(木) |
モネじいちゃんとの対話/追記 |
木曜日の美術館はたしかに空いていた。最寄駅からの無料送迎バスは、ガラガラとはいかないまでも行きも帰りもちゃんと座れたし、美術館の中も人がいっぱいで絵が見えないなんてことはなかった。木曜日の美術館は空いている。私の読みは正しかった。
川村記念美術館は、畑や田んぼの広がる中をバスで15分くらい行ったところに、いきなりぽっかりと現れる。田んぼにはまだ水が入っていなかった。モネの睡蓮がみたくて、とんでもなく遠くまで足を運んでしまった。そうでなかったら絶対に来ない場所だ。田舎は空気がきれいで、と言うより、空気がまるくて甘くて気持ちが良いけれど、都会の喧騒に慣れているためか、私は少し寂しくなる。
美術館には順路があるが、それを順路通りに進み、最後まで到達すると逆行してはじめの位置まで戻り、また順路通りに進む、それを4回繰り返した。これも美術館が空いていたからできたことだ。そうしてわかったことは、睡蓮をみるときには絵から離れて、絵の中央よりやや上に目をやる。そうすることで、絵が一気に生気を帯びる。すごい発見だった。心もち近づくと、水面のきらめきが一層引き立つし、反対に遠ざかると、池が額縁の外までずっと広がっていく。絵をみるのは、とてもおもしろい。絵の前に立ち、心を自由に遊ばせてみる。
モネの絵の素晴らしさをあれこれ言えるほどに知識を持ち合わせていないのが、残念でならない。チャンスがあったらぜひみてほしい。会期は4月14日まで。
追記: たくさんの睡蓮の絵とともに、モネの写真がいくつか展示されていた。家族や友人と語らうモネ。その中のひとつに、池の水面だけを撮ったものがあり、そこにはモネ自身の反映が写っていた。帽子をかぶり、絵筆を持ち、池を見つめ、柳やポプラやときには空に浮かぶ雲の反映を描き続けたモネの反映。気をつけていないと見過ごしてしまいそうな写真なので、展覧会にお出かけの方はちょっと探していただきたい。
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