蜜白玉のひとりごと
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2002年03月15日(金) |
不倫をしでかす恐れあり |
彼女たちが潔いのか、それとも諦めが悪いのか、さっぱりわからなかった。
昨日、美術館にたどり着くまでの長い時間を『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』を読むことに費やした。江國香織はあとがきで、「いろんな生活、いろんな人生、いろんな人々。とりどりで、不可解で。」と言っているが、この短編集に収められている10の物語に出てくる女たちは、本当に不可解。そして、みんなが一様に哀しかった。さらに厄介なのは、彼女たちの思いやそぶりがいちいち自分と重なって見えたことだ。江國香織の書く女たちは予想もしないところで私を揺さぶる。あんまり無防備に読んでいると、足元をすくわれ兼ねない。
ひとつ断っておくが、今の私の生活はそんなに哀しくはない。全然哀しくないと言えば嘘になるが、たいして哀しくない。不倫もしてないし(私はしばしば「不倫をしでかす恐れあり」と周囲から言われる)、今のところ数字の2とはうまくいっている(はずだ)。彼女たちの置かれた状況と自分のそれとが異なっているにもかかわらず、なぜか自分と重なって見える。厄介だ。
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