蜜白玉のひとりごと
もくじかこみらい


2002年05月14日(火) 梅粥

土曜日から風邪をひいてしまい、微熱が続いている。昨日は仕事を休んで、一日中寝ていた。熱のせいか夢見が悪く、短く浅い眠りから目覚めるたびに、体がガチガチに強ばっていた。おかげで肩から背中にかけてが、ひどく凝っている。そして、せっかく仕事を休んだにもかかわらず、熱は今日になってもまだ下がらない。

それでも、さすがに2日続けて仕事を休むのは気が引けたので、今日は出勤することにした。途中、景気づけに本屋に寄り、川上弘美の新刊『パレード』を買った。自分のための真新しい本が、とてもうれしい。この頃はずっと図書館を利用していたので、余計にそう思ったのかもしれない。いつもの電車に乗って、仕事場へ向かう。

運良く座れたので、いそいそと買ったばかりの本を取りだして、読んでみた。川上さんの描く、とらえどころのないやわやわとした世界は、熱の下がりきっていないぼーっとした頭にちょうどいいようで、床上1センチくらい浮いているような感覚もまた、好都合なのだ。夏の午後、のんびりと進むセンセイとツキコさんのお話にひたっていると、この何日かおあずけになっていた読書を楽しめる喜びが、じわじわと拡がってきた。

『パレード』は、いくぶん病人の私を刺激し過ぎるわけでもなく、かと言って、置き去りにするわけでもなく、適度に包みこむ。こちらも、ちょうどいい力加減で読めた。ハードカバーとは言え、絵本のように薄くて軽く、余白の多いページも、今の私には心地よいものだった。まさに、梅粥のような一冊なのである。


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