いちばん奥の歯で、ほっぺたの内側を噛んだまま寝ていたようだ。くっきりと歯型に口内炎ができている。朝の熱いコーヒーも昼の冷やし中華のたれもしみる。口内炎はちょっと出っぱっているから、うっかり噛んでしまわないように気をつけなくてはいけない。そんなことをしたら、ますますひどくなってしまう。『須賀敦子のトリエステと記憶の町』を読んでいて、今の自分にぴったりの、いいことばに出会う。「あとはまた、これからのことだ。」気持ちが沈んで顔が下を向いてしまったら、これからは、このことばを思い出そう。