蜜白玉のひとりごと
もくじかこみらい


2002年11月08日(金) 寝ても覚めても

午前2時過ぎまで、『マラケシュ心中』(中山可穂著/講談社)を読む。灼熱のモロッコを旅するふたりにどこまでもついて行こうとするが、4章まで読んで力尽きて寝る。中山可穂さんの小説は、どれを読んでも周りの空気がどんどん薄くなる感じがして、続けて読むと頭の後ろが痺れてくる。恋するふたりの関係があまりに密で、こっちまで息ができなくなる。身を滅ぼすような恋ばかりで、いたたまれない。愛が憎しみに変わる瞬間が、おそろしい。人は、誰かに恋することなしには生きられないのだろうか。

朝起きて、ごはんも食べずに最終章を読む。あっけない幕引き。終わり方はともかく、途中の、まるで階段を転がり落ちるように自分の人生がコントロールできなくなる様子には、うんうんと肯けるものがある。どこかで一歩踏み外すと、あれよあれよと言う間に目の前の風景が変わり、最後には予想もしなかったところにたどり着く。気に入るも気に入らないもなく、人はまた、その場所から新しくはじめなければならない。



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