蜜白玉のひとりごと
もくじ|かこ|みらい
2010年01月14日(木) |
赤ちゃんならかわいいでしょうけど |
夜中、ほぼ1時間おきに父に起こされる。30分のこともあれば1時間半のこともある。ひどいときには10分おきなんていうときもある。用事は目が覚めて眠れないから薬を入れてくれ、だとか、体勢が悪くて苦しいから直してくれ、だとか、足がしびれたから揉んでくれ、だとか、まあいろいろあるけれど、どれにしたって寝ているところをいきなり起こされるのだからこっちは頭がボーっとしているし、深い眠りの最中だったりするとぐるんぐるんめまいがすることもある。そして機嫌は最悪だ。でも言われたことはとりあえずやる。やらないといつまでたっても父は寝ないし、そうするとこっちも眠れないからだ。
毎晩そんな調子である。もともと寝つきがよくて朝まで一度も目が覚めない私にとって、こんなに頻繁に起こされる日々はつらい。あまり眠れてないようですがだいじょうぶですか?と看護師さんが気遣ってくれた。こんな感じですよ、と話をすると(言わなくても記録ノートを見てわかってくれてはいるのだけれど)、子育てと似てますね、と言われた。まあ、そうかもしれない。でも、それはいちばん一緒にしてほしくないことでもあった。もちろん、看護師さんは意地悪で言ったつもりは全然ない。娘さん(私のこと)が小さいとき、お母さんはそうやってたんでしょうね、という話の流れでもあった。でもトゲトゲピリピリした私にはそれを素直に聞いて受け止めることはできない。
ずっと思っていた。夜中に何度も授乳で起きなくちゃいけないから眠くて大変なの、と言う人たちにこの話をすれば、似てるね、わかるわかる、と言われかねないだろう、と。そしてそれに対して私は、そうだねえ似てるねえ、と笑って答えつつも、心の中は荒れ狂っているだろうということに、ずっと前から気づいていた。
そうだろう。夜中に何度も起きるのは大変だ。おまけに泣き止まなかったりしたらそれはもううんざりもするだろう。でも、それとこれとを同じ「大変」にくくってほしくない。私にはその夜中の授乳の大変さがわからない。かわりに、自分の子どもを育てるお母さんたちには、私が夜中に「苦しいだのなんだの眉間にしわを寄せて訴える父の面倒をみていることの大変さ」はわかるはずもないのだ。
ただ、それだけ。幸せの度合いが、全然違う。だから今日のところは看護師さんには、「赤ちゃんならかわいいでしょうけど、父はかわいくないですから」と笑いながら言っておいた。それを聞いた父は大笑いしていた。父が笑っているのをいいことに、私は「かわいいって感じじゃないですよね?」とさらに念をおして言っておいた。ちょっとした冗談のようになった。
|