蜜白玉のひとりごと
もくじかこみらい


2010年05月05日(水) まるの木

父のことを書こう書こうと思ううちに、まるも向こうへ行ってしまった。

昨日、ひとしきり泣いたあと、相方がどこからか探し出してきてくれた小さな箱に、これまた相方の白いハンカチで着物みたいにくるんだまるを安置する。ベランダに咲いていたゼラニウムの花も切って入れる。ピンク色だったくちばしは今では紫がかっている。ぷっくりとした頬はそのままで、目を閉じて眠っているようだ。小さな頭を人さし指でそっとなでる。羽毛のすぐ下の皮膚はつめたくて少しかたい。つめたさも然ることながら、指先が敏感に感じ取る皮膚の弾力のなさへの戸惑いは、父が亡くなったときもそうだったと思い出す。

服を着替えて駅の向こうの花屋さんへ行く。相方が2メートルくらいあるオリーブの鉢植えを買ってくれた。帰りがけに小さな花束も買った。鉢植えは配達を頼むとお昼前には届いた。相方と二人がかりでベランダに運ぶ。

まるの顔を見ていたくてなかなか決心がつかない。それでも日のある明るいうちがいいだろうと思い、部屋の片付けが一段落した頃、オリーブの根本、鉢の深さ半分くらいまで掘って、木の方に向いてまるを静かに置く。赤いゼラニウム、ピンクのガーベラ、名前のわからない白い花で囲んで、大好きなエサと、いつも食べていた甘い匂いのする粉末カルシウムも入れてあげる。まるバイバイ、じゃあね。さらさらと土をかけるときには、私も相方も、泣いて泣いて仕方なかった。

目印にアイスの棒と同じくらいの、木のマドラーを立てておく。


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