蜜白玉のひとりごと
もくじかこみらい


2010年08月21日(土) 夏と遊ぶこども

カーテン越しの午後の日差しがまぶしい。今年の夏の力強さにはとてもかなわない。無理して出かける用事がなければ、一日中、家に避難していたい。海は焼けるし山は虫に刺されるし街は人が多くて夏休みの子どもたちがいっぱいで、行きたいところはどこにもない。夏バテでもうこの頃は食欲はおろか物欲も薄れた。

寝坊して起きればすでに空気はもわっと暑く、朝から突っ走る夏にはもう追いつけない。いったん窓を開けて空気を入れ替えたら、数分後に閉めてエアコンスイッチオン。そのまま夕方まで部屋の中でひっそりと過ごす。録画した番組を見たり、DVDを見たり、本を読んだり、こうして文章を書いたり。日が傾いてほんの少し暑さが和らげば、エアコンに浸っていた後ろめたさとともに観念して表へ出る。買い物に行かないことにはご飯のおかずがない。

夏のいいところは洗濯物がすぐ乾くところ、今となってはそれだけかもしれない。純粋に夏がうれしかったのは10歳くらいまでで、あの頃は夏が私と一緒に遊んでくれていた。他のどの季節より外遊びが楽しかったのは夏だったと思う。

腕も脚もポッキーみたいに細くて真っ黒に日焼けして、どこまでも全力で走れて、汗をかいてもなんともなくて、のどが渇いたら水道の水を飲めばいいし、不快なことなど何にもなかった。とにかく外にいなくちゃもったいないから、遊びの途中で家に帰ってご飯を食べる時間ももどかしい。次々と思いつく外遊び、一緒に遊ぶ仲間もいたし、遊ぶ場所もあった。大人にどこかに連れて行ってもらわなくても、一歩家の外に出れば、駐車場、空き地、公園、原っぱ、マンションの裏庭、道路、そして墓地までも、工夫すればいくらでも遊べた。周りの大人から見れば、ちょっと度が過ぎていたかもしれない。危険なこともあったかもしれない。でもあまり怒られたことはなかった。マンションの裏庭で木登りをしていて、一本折れて一人落ちて怪我をしたときにはちょっと怒られたはず。でもその子も怪我が治ったらまた登っていたし(そこは秘密基地でもあった)、誰もこわいとは思わなかった。楽しさの方がずっと上回っていて、夏に後押しされて遊んでいた。

あの元気、どこへ行ったんだろう。


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