蛍桜 |
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もしあのころのままなら1 |
まだ暗い時間に、目覚ましで眼を覚ます。 耳障りなその音も、今日はそわそわした気持ちに押しつぶされる。 いつもはしない化粧をちょっとだけして いつもより可愛い服を選んで いつもより多く鏡を見て ぶさいくな自分の顔を見て かわいいと言ってくれた人の顔を思い出す。 朝日が昇りかけている中 車を走らせて、トンネルを抜け、高速道路のパーキングに停める。 いつものことだけど、 時間より早く来すぎたから、 フロントミラーでもう一度 化粧が崩れていないかチェックする。 時間が近づいたら、 しっかりカバンを持って、車を降りて鍵を締めて 階段を上って、高速バス乗り場に向かう。 スピードを出した車がまだらに走る脇でバスを待つ。 今までも幾度か乗ったことのあるバスだけど 待ってる間も、乗ってからも、そわそわ。 海を見て、橋を渡って、辿りついたその先で 何故か懐かしさを感じる。 ゴミのように歩く人々。 乱雑に並べられた自転車。 狭い道を、人に気をつけながら走る車。 赤い観覧車。 空を映す青いビル。 買い忘れた豚まんを買って、歩道橋の上から横断歩道を見下ろす。 適当にうろちょろして 適当にぼけぇっとして ビルを上って、カフェで一息つく。 ビルをもっと上って、屋上に行って 黒い城を探して、風にあたりながらぼけぇとする。 このままここから落ちたら、なんて考える。 夕日を見て、ビルを降りて、 噴水でぼけぇとして。 バスの時間になって、バスに乗って、 橋を渡って、夜景を背にして帰る。 たぶん、そんな感じ。 |
2010年02月05日(金) |
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