マニアックな憂鬱〜雌伏篇...ふじぽん

 

 

サムライ、石井浩郎の最後の打席。 - 2002年10月05日(土)

昨夜、テレビを観ていて、ある場面に目が釘付けになってしまった。
それは、横浜vs巨人の試合の7回の裏で、ピッチャー入来。
そして、右バッターボックスに立っているのは、サムライ、石井浩郎。
久々の1軍のバッターボックスだった彼は、現役最後のバッターボックスで涙を見せた。拭っても拭っても、止まらない涙。
横浜ファンのみならず、巨人ファンからも上がる大歓声。
入来がおそらく意図的に投げたど真ん中のストレートを石井はフルスイングし、高く上がった打球はショートのグラブに納まった。
スタンドには、妻、岡村孝子が娘と一緒に眼鏡をかけて座っていた。
彼女は、「夫のプレーを球場で観るのははじめて」とのことだった。

石井浩郎、広島ファンの僕にとっては、あまり縁がない選手だったし、近鉄時代の全盛期を除いては、怪我のせいもあって「打ちそうな雰囲気の割には、そんなに数字が出せない選手」だったと思う。
でも、昨日の引退試合の石井をみて、彼の人気と評価の理由がわかったような気がする。
ほんとうに野球が好きなサムライ、石井。
ドイツのカーンを髣髴とさせるようなストイックさと存在感。

石井の最後のバッターボックスの涙を観て、
正直、寂しさと同時に嫉ましさを感じた。
男なら、誰しもこんな「引退」に憧れるような、そんな光景だった。






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