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| 2004年12月07日(火) |
新感線☆RX『SHIROH』初日 |
<場所>帝国劇場H-21 <時間>18:30〜、1幕80分、休憩25分、2幕75分(ぐらい?) <作>中島かずき、<演出>いのうえ <主な出演> シロー:中川晃教、益田四郎時貞:上川隆也 お密:秋山菜津子、山田寿庵:高橋由美子
松平伊豆守信綱:江守徹、お紅:高田聖子 柳生十兵衛:橋本じゅん 津屋崎主水:池田成志、三宅蔵人:粟根まこと 板倉重昌:吉野圭吾、松倉勝家:右近健一
益田甚兵衛:植本潤、レシーナお福:杏子 リオ:大塚ちひろ、渡辺小左衛門:河野まこと ゼンザ:泉見洋平、マツ:山本カナコ ソーイ:中谷さとみ、セン:保坂エマ
<感想> 楽しかったです。全体的には。 あっきーの歌には本当に人を動かす力がありそうで、 「神子」という言葉がそのまますんなり納得できるし、 上川さんも、自分には力があると自負して育ってきた たたずまいの清さと感じられる動きが美しい。 歌も、もっとどうしようもないと思っていたけれど、 ただ「歌が上手」と言われる人に不足しがちな、 歌詞の意味を伝えることが十二分にできている歌で、 技に欠ける点すら、「失ってしまった力」という役に 似合っているかもと感じさせるほど説得力があった。 主役2人には、ほとんど文句なし。
そして、何より良かったのが秋山さん。 パワフルでかつ感情のこもった歌声と確かな演技。 彼女が主役ですか?というぐらい出番も多いけれど、 それが、しっかりと舞台を締めてくれていた。 由美子ちゃんの芯が通って透明感のある演技も、 寿庵にピタリとはまって、切ない気分にさせられるし、 本当に核になる役者陣がしっかりしていて良かった。
この4人が話の中心を背負っていくから、 全体としてはきちんと出来上がって楽しめる。 多用される映像を見るかぎりでは、どうもそれでは いけないのかもと思いながらも、シローの歌声に とにかく心動かされてガンガンに盛り上がってみたり、 そんな力ある彼が横にいることで苦しむ四郎や、 またそんな彼を見つめる寿庵に感情移入したり、 自分の本当の気持ちに自信を失いかけながらも、 信じきるという選択をする お蜜に共感したり。
だから、いいと思うんです、初演初日にしてはすごく。 気持ちよく歌うだけで演技しないから邪魔な杏子とか、 許容範囲を超えて下手なので、歌うたびに感情が 途切れさせられてしまう江守さん、雰囲気はいいのに、 高音が不安定で素に戻らされてしまう大塚さん辺りも、 日本のミュージカルでは珍しくないと諦めもつく。 (いや、江守さんに歌わせる必要はないと思いますが) でもね、台本的にバランス崩してる登場人物多すぎ。
要は、新感線の団員の使い方なんですけどね、問題は。 一番被害をこうむったのは、贔屓目なしに橋本じゅんさん。 じゅんさんを観に行って、こんな悲しい思いをするなんて。 舞台バランス的には、いてもいなくてもいいを超えてる役。 話の流れ的にはアンサンブルその1でも構わないのに、 ヘタにピンで重要人物っぽく出てくるから何かしなきゃで、 でも、何も意味を与えられていない「その他大勢」だから、 何かすればするほどウザくなるだけ。本人が頑張れば 頑張るほど邪魔になるなんて、最悪の位置(大泣)
成志さんや粟根さんは、ピンで出てこなかったから そこまで最悪ではなく、何とかアンサンブルに紛れて 「勿体ない使い方だね」で済ませられる程度だったけど、 それにしても、歌の下手さや声の通りの悪さ、動きの雑さ などが、帝劇の舞台で観ると、悪目立ちしてしまいがち。 演出的には、河野さんとか泉見君程度の目立ち方で 十分だったと思うんですけど、柳生十兵衛って。
「新感線in帝劇」ではなく、「中島&いのうえin帝劇」では いけなかったのかと、話を聞いた当初からの不安が 的中してしまった感じで、ものすごく悲しかったです。 幸いだったのは、その、ものすごく大きな悲しみよりも、 楽しさの方がほんの少し上回ったってことなのですが。 「全体的には」良かった。あっきーファンや、圭吾君好き、 由美子ちゃんファンとしての私は、とても満足しました。 ただただ、せめて「勿体ない使い方してくれてからに」と 恨む程度の使い方をしてほしかったと、じゅんさんファン としての私が納得できなくて、ウルウル泣いています。 これ、公演中に変わってきてくれる・・・よねぇ?(泣)
<追記> 方々の感想を読むにつけて どうしても気になって、 翌日、『SHIROH』原作脚本なるものを買ってきました。 脚本の最後、第13景。読んで泣きそうになりました。 この場面があれば、柳生十兵衛が人間になる余地がある。 これでも観終わってつまらない役だったと思うようなら、 それは演じ手の問題。主水や蔵人にも少し存在意味を 持たせるような台詞が書かれていて、とても嬉しくて。
ただ、全体的なバランスを考えると、 この場面を生き返らせて、重要人物をこれ以上増やすより、 人物自体をカットしてしまった方が、いい舞台になると思う。 何より、人物説明が長すぎて1幕が相当冗長なのだから。 帝劇は商業演劇の場であり、ある程度のスターがいて、 その周りを囲む人々がいるという演劇を上演する場所。 そこで、たくさんの小さな星たちのキャラクター渦巻くことが 楽しいような新感線ノリを持ち込むのは難しい気がする。
中島脚本版は、「あっきーin新感線」として観たかった。 いのうえ演出版は、「いのうえ&中島in帝劇」として、 劇団員抜きで観たかった。やはりそれが、私の感想です。
<追々記> 私、ストーリーについては ほとんど語ってないかも。 まだ、それ以前のことばかりが気になる状態だったから。 要はやっぱり、ああ初日だったんだなぁという事かな。 でも、ジェノサイド自体よりはその先を語っているからか、 心配していたほどド暗い印象はなかったと思います。 ただねー、その視点は寿庵がやってくれてるんだから、 現代の映像をガンガン流す演出はどうなのかなぁ・・・。
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