灰色

僕の文学がはじまる
詩人の言葉を僕は忘れる
「僕の人生は灰色だ」

きらびやかな重低音が 鼓膜を破り
色褪せた服に醒めた心を再び熱くさせようとした
悪足掻きの彼が両手を広げる
よく来たな!
大きな歓声に誰もが意思を失い
突然本当の自分を思い出した女が呟く
「わたしの人生は灰色だ」

薄汚れた手は恐ろしく冷たくて
自分を抱き走り回る子供は
「母はどこへ消えたの?」
父の寝言で目を覚まし
母の元へ駆け寄る
冷たい両手を差し出して・・・
「僕の人生は灰色だ」

神はまだ僕を救ってくれない
見えない糸で引きずられるように
ずるずると僕は他力本願をする
僕はまだ詩人の言葉を思い出せない
「僕の人生は・・・」





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