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■灰色
僕の文学がはじまる 詩人の言葉を僕は忘れる 「僕の人生は灰色だ」
きらびやかな重低音が 鼓膜を破り 色褪せた服に醒めた心を再び熱くさせようとした 悪足掻きの彼が両手を広げる よく来たな! 大きな歓声に誰もが意思を失い 突然本当の自分を思い出した女が呟く 「わたしの人生は灰色だ」
薄汚れた手は恐ろしく冷たくて 自分を抱き走り回る子供は 「母はどこへ消えたの?」 父の寝言で目を覚まし 母の元へ駆け寄る 冷たい両手を差し出して・・・ 「僕の人生は灰色だ」
神はまだ僕を救ってくれない 見えない糸で引きずられるように ずるずると僕は他力本願をする 僕はまだ詩人の言葉を思い出せない 「僕の人生は・・・」
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