入院中の授乳は3時間毎に1時間ずつある。 入院1日目は午前11時に説明だけ受けて、我が子に触れたのは次の授乳時間の午後1時だった。 入院二日目のこの日は朝7時から授乳がある。 7時、10時、13時、16時、19時、21時の計6回、我が子に会えることになるのだ。 入院3日目からは(個室の場合は)母子同室で、授乳のたびに授乳室に行き、24時間一緒にいることになる。授乳もこれまでの6回に加え、1時と4時の2回が加わり、計8回行うことになる。
前日、おやつの時間(毎日おやつが出るのである)におばさんがやってきて、それまで入っていた2人部屋(を1人で使っていた)から個室に移動していた。 個室にはシャワーとトイレがついていて、付き添いの家族が泊まることもできる。 また、出産翌日からシャワーができる。昔は1ヶ月くらいお風呂に入れなかったから大変だったと母が言っていた。ちなみに、シャワーのみで湯船に入るのは感染防止のためいけないことになっている。
7時の授乳時間ははりきっていた。前日、晃太朗は順調にミルクを飲んでいたので、鼻の管がとれそうだと看護婦さんが言っていたから、この日から本格的におっぱいを飲ませることになるのだ。 朝、新生児室に行くと晃太朗の管がとれていた。 しかし、10時の授乳時間からおっぱいを飲ませるようにと看護婦さんに言われたので、この日から始まる搾乳を試みることになった。
ミルクを飲む量は一日目は一回20cc。 二日目は30ccで、毎日10ccずつ増えていく。 まず、おっぱいのマッサージが約15分。これは授乳時間に含まれていないので、毎回15分前には授乳室に行ってマッサージを行う。 その後、おむつのチェック。汚れていたら交換。 その後体重を測る。そしておっぱいを一日目は3分ずつ、二日目は5分ずつ、三日目以降は5分ずつを2回飲ませる。 そして体重を測り、どれくらい飲んだか調べる(飲んだ分だけ体重が増える) 二日目以降はこの後、搾乳をし、最後に足りなかった分、ミルクを飲ませる。 そして、最後におむつのチェックをし、カルテに直接母乳、搾乳、ミルクの量と便、尿の回数を書き授乳の時間が終わる。 これだけするのに1時間かかるのさ。大変なのよ、色々と。
で、おっぱいを飲ませられないので、せめて搾乳をがんばろうと思ってはいたんだけど、搾乳って牛の乳搾りと同じで、なにやらこつがいるらしい。 なかなか上手に搾れないんだ、これが。 じわじわ滲んでくるのになあ・・・看護婦さんが搾ると、ものすごく痛いけど、たくさん搾れるから、やっぱりこつがあるんだなあ。 結局、ほとんどしぼれず、この回は終了。またまたミルクのお世話になる。 これ以降、せっかく晃太朗の口にお乳を含ませられるようになったのに、なかなかうまく飲ませられない。 寝ていたり、タイミングが合わなくて、うまく飲ませられないのだ。 どんどん気持ちは焦るし、搾乳もうまくできないし、座っていると股は痛いし、悲しくなってきてしまった。 大体、母乳、母乳っていうわりに、時間にうるさくて、片方5分なら、吸っても吸わなくても5分以上吸わせられないのだ。 だから、子どもが寝ていて、口を開けてくれないと、足の裏をビシビシ叩いて起こして、泣かせて、で、やっと飲ませられると思ったら、もう5分たっていて終了、ってことになってしまう。 だからって、看護婦さんは忙しそうで、どうしていいか聞きたくても聞けない。 乳は出るのに、吸わせられずミルクのお世話になるという、なんだか情けない気分。 あんなに張り切っていた気持ちも、すっかり萎えてしまった。
とにかく晃太朗は泣かなかった。 寝てばかりだった。寝ている赤ちゃんいおっぱいを飲ませようと思ったら、泣かせるしかない。 でも、泣かない。 仕方がないので搾乳してもほとんど搾れず、なっさけな〜い気持ちになっていると、お腹をすかせて大声で泣き出す。で、時間になってミルクをあげることになってしまう。 とにかくタイミングが合わないのだ。
しかし、負けてられない(いや、勝ち負けではないんだけど)
夜6時45分。夕食を終え、これでもかと水分を取り(水分を取ると乳が張りやすい)シャワーでおっぱいをあたため(あたためると乳が張りやすい)気合を入れて授乳室にむかう。 もくもくとマッサージを行い、我が子のところへ。 この回、気合が入っていたのには理由があった。 晃太朗は、この時間の授乳はいつも起きていたのだ。だから、意地でも母の愛の乳を飲ませてやるぅ〜と思っていた。
晃太朗は起きていた。おむつを替え、いざおっぱい。 すんなりと口にくわえる。うむ、順調。 おっぱいを飲ませるのは、痛いんじゃないかなって思ってた。赤ちゃんの吸う力ってすごいのよ、と誰もが言っていたから。 でも、なんかくすぐったかった。 晃太朗は旦那様にそっくりなので、変な気分だった。旦那様におっぱいあげているような気分だった。 さて、体重測定の結果。 なんと54gも増えていた。この日は30cc飲めばいいのに・・・看護婦さんに相談。体重計がおかしいかもしれないので、搾乳してあと10cc飲ませることに。だんだん搾乳のこつもつかめてきて、10ccあっというまに搾ることができてしまった。 なんだか晴れ晴れとした気分。 後で考えると、やっぱりこの時、54g増えていたのは正しかったと思う。 だって50cc飲ませる日には112g増えていたこともあったのだ。 う〜ん、末恐ろしい子だ、と母は思った。
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