Subterranean Homesick Blues...YANG(ヤン)

 

 

第3話 BIG WAVE - 2002年02月25日(月)

ブライアンは思い出していた。
もうだいぶ昔のことだ。一枚のアルバムが製作された。サーフィン映画用のサントラだ。そのアルバムの全曲をビーチボーイズの曲でやりたいと言ってきた男がいた。彼は日本人。ブライアンは別に気にもとめていなかった。すぐにOKサインをだした。そして、アルバムは作られブライアンのもとに送られてきた。それはそのままビーチボーイズであった。ただ違ったのは、それがたった一人の男の多重録音のコーラスで作られていた点であった。よくできているとブライアンは思った。そして、よくまあここまでやるな、日本人とは器用だとはきいていたがちょっと変わっているなと思ったのだった。
その日本人とは言わずと知れた日本が誇る変わり者お宅ミュージシャン山下達郎だ。
ブライアンはきっと日本にはあの男のようなファンがたくさんいるんだろうなと思った。生粋のアメリカ人であるブライアンはアメリカ人が抱いているビーチボーイズのイメージにはうんざりしていた。もうサーフィンUSAは二度と演奏したくなかった。「日本にいこう。そして、真のファンに会おう。それが私の新たなるスタートだ。」ブライアンは思った。
ブライアンは1枚目のソロアルバムをだし、自身を深めていた。ふつふつと湧き上がる情熱を発散できないでいたのだ。
「日本で私のやりたいことをやろう。」ブライアンは決心した。
ただ、ひとつ問題があった驚異のファルセットボイスをもったブライアンであったが、そのファルセットは過去のドラッグづけの生活で輝きを失っていたのだ。
ブライアンは困ってしまった。
ブライアンは一気にやる気がなくなってしまった。そして、家政婦にホットミルクのおかわりをもってこさせると、口からミルクをたらしながらそのまま眠ってしまった。

果たして、ブライアンは復活できるのか。幻のツアーとなるのか。
がんばれブライアン。立ち上がれブライアン。


つづく


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