第11話 朝がやってきた - 2002年03月11日(月) 街が静かに息をはじめた。 朝の光はすべてをはっきりとさせていく。 夢から現実へと。 だが、ブライアンはまだ夢の中。 あったかい毛布にくるまったまま。 目覚めたのはブライアンの下半身だけ。 野獣のように、それはリンダを無意識に 探した。 しかし、リンダはベッドにはいなかった。 隣の部屋にはグランドピアノが置かれている。 そのピアノに向かい、ひとつの甘いメロディを 奏でる小さな手。 やがてそのメロディは、部屋を飛び出し、風にのり、 ニューヨークの空へととけていった。 ブライアンはピアノの音色に惹かれ、 寝室から隣の部屋に入っていった。 ピアノに向かい引き続けるリンダがそこにはいた。 そして、リンダの視線は、ピアノの上にそそがれ、 そこには、色あせた、一枚の写真が収められていた。 にこやかに笑う男女、それは、若かりしブライアンと キャロラインだった。 ブライアンの下半身は一気になえてしまった。 どうした、ブライアン。 朝からちょっと重い雰囲気だぞ。 リンダはいったい誰なんだ。 やばいぞ、もしかして? つづく -
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