沢の螢

akiko【MAIL

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2002年07月12日(金)

芝居友達で、いま一番親しくしているY子さんから夕べ電話があった。
「向こう一週間ばかり、多忙で、電話できないかもしれないから」と、芝居の日取りの確認や、連句の話など。
彼女は、私より少し年上だが、ずっとエネルギーがあって、一人何役もの仕事や、付き合いをこなしている。
長年、社会の一線で働いてきたので、3日も家にいると、落ち着かないのだという。
いったん最前線から退いたものの、周りがほっておかないのだろうか、大学の講師とか、いろいろな役回りが巡ってきて、毎日、何かしらの用事で、出ている。
その合間を縫って、電話をくれるわけである。
仕事だけでなく、昔のクラスメートや、仕事仲間との旅行や、付き合いも多いらしく、私と電話で話している間にも、始終キャッチフォンが入ってくる。
スーパーウーマンということばがふさわしいだろう。
でも、彼女のいいところは、そうした仕事のキャリヤや、能力が、どこにでも通用するとは限らないと言うことを、自覚していることである。
よく、男の人で、昔の肩書きが、抜けきらず、どこへ行っても、それが顔を出して、鼻持ちならないという人がいる。
この手の人は、私のもっとも嫌いなタイプ、一度、あるツァーで、この手の男と一緒になり、旅行の終わりに、大げんかしたことがあった。
「アンタみたいな人は、けちなツァーなんかに入らないで、お供を3人くらい連れて、一人で行きなさいよ」と言ってやった。
旅行の間中、威張り返り、初対面の私を「会社の女の子」扱いした口をきいたからである。
役所の窓口で、けんもほろろの応対をしたヤツに「何様だと思ってるのよ」と、言ってやったこともある。
私は、この世に亭主以外に怖い人はいないので、誰に対しても、同じ接し方で通している。
弱いものイジメはしない代わり、こういうエライさんをやっつけるのは好きである。
ムネオみたいなヤツは、結構多い。Y子さんがそういうタイプだったら、私は、はじめから付き合わないと思う。
忙しいと言うことは、それだけ、周りから期待され、役割があるということで,結構なことなのだが、そのために時間を取られ、金銭的には、入る方より、出る方が多いくらいだという。
「間に合わないとすぐタクシーに乗っちゃうから、交通費もバカにならないわ」と言っていた。
でも、何もしなくて、ゼロでいるより、同じゼロなら、何かして、プラスマイナスゼロの方が、いいのじゃ、ないだろうか。
少なくとも、数字に表れない満足感、充実感、そこで感じたり、思ったりの、体験をする。たとえ、いいことだけでなくても、生きている実感は、得られるはずだ。
家にいる安息や、静かさを、かけがえなく思いつつも、社会と繋がった人の、プラスとマイナスを、時に羨ましく思うのである。

2002年07月12日 12時49分43秒



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