沢の螢

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「夏の日の恋」
2002年07月16日(火)

・・・というドラマを、最近、NHKでやっている。
私は、以前は、よくテレビを見る方で、中でもドラマは好きだったが、ここ1年半ほどは、インターネットに時間を費やすことが多くなり、また、見応えのあるドラマも、この数年はぐっと減って、ジャリガキ(まあ、私としたことが、こんな言葉を使うなんて!意味はおわかりですね)向きの、ふやけたものしかお目にかからないので、あまりテレビを見なくなった。
しかし、3週間ほど前、たまたま、夜9時のニュースを見ていて、何となくそのままにしていたら、始まったのが、表題のドラマで、ついつい見てしまったのが、結構面白い。
岩下志麻、松坂慶子の二人に、津嘉山正種が絡む、大人の恋物語。
懐かしの池辺良も登場する。
若いのは、緒方直人に、岩崎ひろみ。
夫に家出されながら、仕出し弁当屋を切り盛りする岩下に、ちょっと蓮っ葉だが、女の魅力を備えた松坂。
津嘉山が、どちらに靡くか、毎回はらはらさせられる。
この人は、舞台俳優で、テレビにはあまり出てこないが、なかなかいい。
ところが、今日、一つのヤマ場だったのに、ウッカリ忘れてしまい、見損なってしまった。
最後に、岩下と津嘉山が、浜辺でダンスをする場面があったから、こちらの二人で恋が成就したのか。
あと2回で終わる。

台風が近づいているようだ。今日も、一日熱い風が吹いていた。
夏物が、まだ全部出てないので、午後から、ひっくり返していたら、汗だくになってしまった。
その合間を縫って、洗濯やら、ホームページの手入れやら。
台風が去って、カッと暑い日差しが続いたら、梅を干さねばならない。
うちの庭の梅の木が、花が小さくなった代わりに、大きな実が付くようになり、先月、1キロほど採って、塩漬けにした。
干し方がうまくいけば、自家製の梅干しが出来るはず。

シャワーの火照りを冷ます間と思って、書き始めたら、長くなったついでに、昔話。
若い頃、夜中の12時に、同じ星を見るという約束をしたことがあった。
しかし、私は天文オンチで、星座などよく分からなかったので、これは長続きしなかった。
その代わり、同じ時間に、お互いのことを心に浮かべるという約束をしたが、果たして、いつまで続いたか、記憶にない。
今の時代に、若い恋人たちは、お互いの気持ちを確かめるのに、どんなことをするのだろうか。
夜空を仰いで、同じ星を見るなんてことは、おそらくしないだろう。
私だって、今なら、パソコンで、メールの送信時間を見て、あら、私も、同じ時間に、同じことを思っていたのね、なんて、ちょっとした一致点を見つけて、嬉しくなったり、充分いま風になっている。
もう、月や、星も、昔ほど、ふんだんに見えないのだから。

2002年07月16日 01時49分14秒

夕焼け
ひと月ぶりに図書館に行った。
近くの図書館が、6月はじめから、点検のため休館していて、借りた本がそのままになっていた。
すでに、開館しているのを知っていたが、返しそびれていた。
借りた本の一冊が、家の中で行方不明になっていたからで、今日やっと探し出したので、夕方まとめて持っていったのである。
期限はとうに過ぎていたので、わけをいって、謝った。幸い、リクエストもなかったらしかった。
本の借り出し期間は3週間、一人10冊までとなっている。ついつい、読めぬと分かっていながら、目一杯借りてきては、後悔する。
そこで、今日は、4冊だけ借りた。
月遅れの文芸雑誌、大河内昭爾氏の話にたびたび出てきたので、もう一度読んでみようと原口統三「二十歳のエチュード」、吉増剛造「剥き出しの野の花」、これは詩とエッセイが混じったもの。それに結城昌治「俳句は下手でかまわない」という本。
そのうち閉館の七時になったので、手続きして外へ出た。
まだ、薄暮。ふと西の空を見ると、真っ赤な夕焼け。美しかった。でも、建ち並ぶ二階や三階の家の陰に、すぐ隠れてしまった。
この十年あまりの年月に、心に残る夕焼けは、いくつかある。
まず、なんといっても、昨年夏、シベリア横断の、旅の列車から見た夕焼け。これは、とても、言葉では表せない。
二番目は、十年以上前、ロンドンで見た夕焼け。
テラスハウスの四階から、真っ赤に空を染めた夕焼けに気づき、思わず外に走り出て、しばらく、西に向かって夕日を追った。
街中で、地平線は見えないが、残照のすばらしさは、いつまでも、心に残った。
それから、蓼科の小屋から見る夕焼け。
西側には、はじめ、家がなく、赤松林の合間から見える夕焼けは、私の好きな景色だった。
ある夏、私を残して、夫だけ仕事のために、東京に帰っていき、何日か、たった一人で、過ごしたことがあった。
夕方になり、それが習慣になっていた私は、窓辺に座って、夕焼けを見ていたのだが、突然、あふれるほどに涙が出て、止まらなかった。
その前の夏、私は大病をして、まだ体も心も癒されていなかった。
人嫌いになり、話したい人もいなかった。
そのくせ、寂しくて仕方がなかった。
誰もいないのをいいことに、心ゆくまで、涙を流した。
しかし、その夕焼けも、五年ほど前に、西側に山荘が建ったことで、だいぶ様子が変わってしまい、もう、あのときと同じ景色ではない。

シベリア横断から、ちょうど一年経つ。
旅行中に誕生日を迎え、モスクワのホテルで、ケーキでお祝いをしてもらった。夫から、ホテルあてに、先回りして、お祝いのファックスが届いていたことを思い出す。
列車の中で見た残照と朝焼け。
きっと、今も変わらずにあるだろう。

2002年07月16日 20時42分28秒



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