沢の螢

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気取る
2002年08月09日(金)

私は、女子校育ち、思春期を、異性の目を気にしない中で、のびのび過ごした。
女だけの社会では、当然のことながら、長も副も女、力仕事も多少危険なことも、全部自分たちでやる。
もちろん、性格は、様々。積極的で、リーダーシップがある人、大人しく、人の中で目立たずにいる方が合っている人、いろいろいたが、共通しているのは、割合本音で、ものが言えることだった。
もちろん、仲違いやイジメもあったが、異性を巡るトラブルが皆無だったのは、女子校だから当然である。
ススンでいる子は、校外で、ボーイフレンドと付き合っていたが、こっそりカレの写真を持ってきて、親しい人たちの間で見せ合う程度、大多数は、映画スターに熱を上げたり、若くすてきな男の先生が入ってくると、ちょっとざわざわしたり、今思うと他愛ないものだった。
デパートに寄り道するのに、親からの願い書を、学校に出さねばならないくらい、一面では厳しかった。
私が、社会に出て一番驚いたのは、女性の中で、同性だけでいるときと、男性が混じっているときと、違う態度をとる人がいることだった。
学校時代には、まず、見なかったことだった。
女同士は、お互いをすぐ見抜くので、気取っていても、バレる。
自分をさらけ出さねば、本当の友達は出来ないし、信頼も湧かない。
「気取り」がないというのが、女同士の付き合いの真髄で、そういうところに、気取りを持ち込む人は、「フン」と、内心軽蔑されてしまう。
ところが、男を含む場では、この「気取り」というのが、オンナの武器として通用するのである。
みんなの話を黙ってきいていて、別のところで、自分の話にすり替えてしまったり、男にミステリアスな魅力と錯覚されて、妙にもてるのも、この種のタイプ。
そして、このタイプは、女だけの集まりが嫌いである。
そこでは「気取り」が通用しないことを知っているし、自分が、同性の間で、どんな風に見られているかを、うっすらと感じていて、居心地が悪いからである。
女も男がわかっていないが、それ以上に男は女が分かっていない。
そして、それを本能的に察知する女にとって、男をだますのは、わけのないことである。
同性に信用のない女は、その武器で、男に近づき、結構自分の城を築いている。
礼儀正しく、決して、あからさまに表明はしないが、心ある女たちは、この種の女を、同性を裏切る敵と思っている。
「わかっちゃいないんだから」と、悪口を言いながら、モテない女同士は、ごまかしのない友情をはぐくんでいる。
本当に支え合えるのは、同性の友達だと言うことを、よく知っているからである。

2002年08月09日 09時23分55秒



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