沢の螢

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森の中で
2002年08月17日(土)

森の中での、静かな生活も五日目。
昨日あたりから、高速道路の上りが、混み始めているらしい。
台風が、近づいているというので、明日の昼頃に、帰ろうかと話している。
東京で、パソコンのコンセントを抜かずに出て来てしまったので、雷などが来ると、ちょっと心配である。
この辺の人口は、七月半ばから、八月半ばまでがピーク。
ひところは、子どもの声が聞こえたり、若い人達の、はしゃいだ様子が、窺えたが、だんだん静かになってきた。
いわゆる観光地から、大分離れているため、あまり、騒々しい雰囲気はなく、外からの侵入者もほとんどないので、静謐を保っている。
車がないと、どこにも行けないという、不便さも、俗化を防ぐ要因になっているのだろう。

息子が結婚した夏、若夫婦を呼んで、二日ほど一緒に過ごしたことがあった。
ところが、息子の妻には、どうもお気に召さなかったらしい。
彼女は、都会的、人工的なものが好きなのである。
私が、ここで10日ぐらい、たったひとりで過ごしたことがあると言うと、「まあ、こんなところで、何をしてらしたんですか。さぞ退屈したでしょうに」と、半ばあきれたらしかった。
そして、息子の車で、湖や、土産物屋や、リゾートホテルで食事したりと、あちこち走り回って帰っていった。
それから、二度と来るとは言わない。
息子の話によると、彼女は、虫、鳥、小動物、草、木などに、全く関心がなく、人のいないところで、終日何もしないでじっとしているなどということは、耐えられないそうな。
息子のほうは、高校から大学にかけて、友達を誘って、よく、ここへ来ていた。
しかし、今は、自分の妻の好みに合わせて、たまの一緒の休暇は、ヨーロッパ旅行などに出かける方が多い。

不況が長く続き、リストラや、経費節減で、人手を減らした分、現役の人達の仕事量が増えている。
三十代四十代が、過酷な働き方を余儀なくされている。
息子たちの年齢が、それに当たる。
あんなに働いて、命を縮めるのではないかと、気になる。
そんな中で、時折、「元気?」なんて、電話がかかってくる。
私は、「体に気を付けてね」としか言えない。
私達の寿命が、すこしぐらい短くなっても良い。
若い人達に、もう少し、人間らしく、心豊かに生活させてやりたい。
年寄りの智恵、老獪さは、あるところでは必要かも知れないが、このごろ私は、未熟でも嘘のない、若い人の純粋さを、むしろ愛しく思っている。

2002年08月17日 17時05分46秒



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