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先日、健康診断を受けに行った。 「どこか気になりところありますか」と訊かれ、そういえば胃の検査を、ずいぶん長いこと、やっていないのを思い出し、そのことを言った。 私の市では、毎年希望者にバリウムによる間接撮影をしてくれるが、それを受けていながら、癌で死んだひとを知っているので、どうせなら、胃カメラで直接見てほしいと言った。 そして、今朝「待望の」胃カメラを受けに行った。 この検査は、確か20年も前に受けたきりだと思う。 のどに麻酔をかけて、じっとしているのが、ひどくつらかった記憶がある。 その後10年ほど経って、バリウムの直接撮影をし、「爆状胃」などと言われ、「この次は胃カメラですよ」と言われたまま、ほってあったのである。 私の連れ合いは、臓器検査は毎年マメに受ける方で、その結果何事もなく済んでいるので、いつも私に「自分の体に対して怠慢だ」という。 身近に、癌の患者がごろごろしていて、そんな電話がかかってきたり、見舞に行ったりが最近続き、とりわけ神経質になっている。 私の方は、この2,3年の間に友人を3人癌でなくしているが、それは、その人の寿命だと思っているので、自分の身に引き替えて考えることはしない。 人間の体は、最もいい状態に保たれたとすると、120年ぐらいは保つと、きいたことがある。 でも、現実には、栄養や、生まれつきの肉体的欠陥や、外的ストレスのために、せいぜい長くて90年ぐらいがいいところであろう。 私の両親は、共に90歳前後、日本が貧しく、戦争のあった時代に育っていながら、長生きしている。 とりわけ母は、大家族の長男である父と結婚し、4人の子を育て、子どものデキが悪くて、人一倍苦労し、ストレスだらけの人生を送った筈なに、まだまだしっかりして、私や妹たちをあごで使っている。 人の寿命には、かなり個人差があり、生命力というのは、肉体的な条件とは、違うところにあるような気がしてならない。 私は、母に比べると、命に対してやや投げやりなところがあるから、生命力は、強い方ではないかも知れない。 寝る前に、「この薬を飲めば、眠っている間に安らかに死ねますよ」と言われたら、案外、受け入れるのではないだろうか。 胃カメラの結果は、胃の中に少し炎症(微爛)があって、刺激物は、食べないようにと言うことであった。 胃は、神経の影響が大きいという。 こんなに幸せな毎日を送っているのに、神経性の胃炎などにかかるとは、どういうわけかいなと、不思議に思いながら、麻酔で痺れたのどの不快感を味わいながら、自転車で帰って来たのであった。
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