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海老日記
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2007年07月20日(金)
伯爵長編・カンテラ伯爵と透明人間Z・6


 僕とそっくりなもう一人の伯爵というあだ名の人も気になるっちゃあ気になったけれど、別にわざわざ確認に行くほどの興味はわかなかったのでそこは無視することにした。


 けれど、佐々木女史とは毎日会った。
 会った、というかたまたま食堂とか学校の中とかで見かける程度だけれども。
 やっぱり佐々木女史はいつものように真っ黒な服を着てカレーを食べていた。そんなにカレーが好きなのだろうか。

 ぼんやりと鳥ポンから揚げを食べていた僕は、その日ちょっと目を疑った。

 佐々木女史の隣に、僕がいた。


 いや、僕じゃあない。
 格好が若者風で、髪も茶髪だった。
 顔も違うはず。
 でも体型というか、なんか見た目が似ていた。

 すごく好感度よさそうな笑顔で佐々木女史と喋りながら食事している。
 とても会話の途中で松雄芭蕉忍者説を話題にあげたりしないような、まともそうな人だった。

 彼が、Z伯爵らしい。


 
 彼の方が格好いいぞ。


 食事が終わり、盆と食器を片付ける時、わざと佐々木女史の横を通ってみた。
 全然気づいていなかった。
 
 この時は、流石に僕が透明人間だった。