夢見る汗牛充棟
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散歩
夜の商店街の片隅を通り
くらい駅の階段をさがり
雑踏のひといきれを思いながら
いき交いの減った寂しい道を歩く
何処へ何処へゆこうか
わからなくなるさみだれ
やまない雨だれが
整うようにしみいる
やわらかさにうなだれ
人が暗がりから油のように浮き
水路をぷかぷか漂い
行きずりの 誰と交差し
軌道を描く線は交錯し
黒点が遠くへ消えてゆく
彼の帰る場所を思い うなだれ
黒い道に捨てられた空の箱
途切れなく舗装を穿っている
濡れて陰鬱な調子
くらい夜にひとりで立ち
肩に背負った金と
腹いっぱいの鉄錆がもたれて重い
よれ萎れた姿に苦くわらい
路上に毒と汚物を散らす
歳をへたいきもの
風がふき ざわりといい
眼を向ければ
街路に立ち並ぶ柳の
あらたな枝が闇の中でうなだれ
それは清々しくうなだれ
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