夢見る汗牛充棟
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五月のあなた
不可視の彼方あちこちに
虚空の貴女を探す試み
五月の薄雲塞ぐ空のあちら
けぶった山の頼りなさに
浜昼顔の花陰や もののかたわら
花水木や落葉の下に
ほの暗がり ほの明かり
ほの白く瞑目した貴女の顔
艶やかないし たつけぶり
いきを留めふと見返る時は
貴女を探す試みをする
胸にたゆたう影のほか
雨の狭間にあらわれた
したたる雫の光のうちや
鋭くさけぶ鳥の声音
名も知らぬ下草や
緑いや増す紫陽花の上に
湿った土に刻まれた
しびとの蒼さをふりはらい
瞼の下に貼りついた
紅さした唇の明るさ
虚ろで朧なその影と
忘却よりもむこうの国
虚空のあなたを探す試み
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