夢見る汗牛充棟
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(旅行の日記より)
一泊目。さすが山間部。 鬼のように寒くて、荒行のような就寝時間だった。 辛かった。わしゃ、町のもやしっ子、やーい、やーい。 とか嘲笑われても甘受しよう。 布団で簀巻きになりながら、ぽたぽたぽたと絶え間ない水音を聞く。 (これは、最初雨かと思ったけど、軒から落ちる水滴だった。) 念じることはただ一つ。 早く朝になれ!!風呂入りてえ!!…だ。 一応24H入浴可なんだが、真夜中一人で入浴すっとお化けが 出そうで怖いんだ。
少し明るくなったら、速攻朝風呂襲撃。 宿泊客が少なかったので、貸切状態の湯船で一挙に幸せになる。 体温も上昇し、お湯と一体化した不定形生物になりたいとすら 思った。
今日は一日のんびりできる。 今日は土曜日だから、客がどどっと増えた。 乗用車がぞくぞくやってくる。
部屋から向かいの建物の屋根が見える。屋根にはこんもりと 30cm以上の雪が積もっている。だから、私のいるこの建物も そうなんだろう。昨夜から水音がぽたぽた途切れなかったが、 日が昇ってから、ますますひどくなった。 よくわからないけれど、雪にとっては、暖かいのだろう。 ずっと見ていたら、屋根の雪が自らを支えられなくなったらしく まとめて下に落っこちてしまった。屋根の色は赤。 自然に落ちた方がいいのだろうけど、もったいないなぁと思った。 わがままなお客さんです。
読書に飽きたら、散歩。 迷いようのない山の一本道だったので、適当に登ってゆく。 短剣のようなつららがしこたま下がっていた。 当然、手に取る。次は、人に刺す。 前を歩く友人の背中が挑発しているように思えたが、流石に 本気でやってはいけないので(当然だ)自分に刺してみる。 つららが折れた。昔読んだ本で、つららで人を刺し殺す→ つらら融けてなくなる→めでたく完全犯罪〜vv… ってのがあったんだが、できないじゃないか…。 ちょっと不満を覚える。 適当なところから水が湧いていて、触るとぬくい。 山のなだらかな斜面にスキーの跡が数本付いていた。
以降、喰う。寝そべる。本読む。風呂入る。喰う。(以下略) …という自堕落で極めてシアワセな一日だった。
再び夜。凍えるような寒さ再び。 どちらからともなく、「…寒いよね」つう話になり。 「辛いよね…」という話になり。 防寒対策として一緒の布団で寝ることにする。 寒さは克服できたが、今度は暑くて、悶々と眠れないわしらがいた。 何事もほどほど、というのは難しい。
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