夢見る汗牛充棟
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2006年07月27日(木) 密偵ファルコ 亡者を哀れむ詩 リンゼイ・デイヴィス

密偵ファルコシリーズ十二作目
田代泰子訳
光文社文庫

購入。好き好き故。これ即ち読了。

まあ、面白かったと言えるかな。多分。
前半は事件の展開ないわ、人生お茶の間劇場だわで、かなーり
めげましたが。最後まで読んで、事件一本じゃ本にならないから
お茶の間劇場と二本立てでお送りしますってことなのか!? と
思った私でした。ちょっとだれる一冊でした。
でも次も出たら買うんだろうな。

ネタとしては面白かったんだけどね。
出版業界を扱っていたから、どうにも解説が付け難くて解説抜き
なの? 今回は。って考えると面白いが、多分ページの都合ですね。
解説の原稿料を節約しなくちゃならないほどに売れてないから、
ではありませんように。頼むから。なむー。

つーかもう、密偵じゃない。普通に探偵さん。裏街道的な臭いはすっかり
薄れてしまったなぁ。愛する美女・愛する子供とペットを手にし、家庭を
持てば野良犬じゃなくなるわよな。どうしたって。
裏街道的な臭いというのは、一作中で何度襲撃を受ければ強くなるという
ものではないもんね。

で、そう悪くもなさそうな(っていうか幸せ者な)ファルコがいつまでも
最初のような皮肉な、斜に構えた素直でない一人称で語るので、
お前、一体、何が、不満ね!? と正座させて問い詰めたいような気持ち
になることが読んでいてしばしば。

ああ、そういえば、今回はカミルスパパが登場しなくてちょと寂し。


以下は、ちょっと腐女子的感想なので埋め。
ついでに自然にネタバレも含むです。


アナクリテスを、作者は一体どういう人だと思ってるんだろう?
何をどう書きたいのか、謎。ファルコの素直でないモノローグと
あいまって、もうわけわかんないです。
あんまり良く書くと主役を食いそうなキャラだということに気がついて
慌てて元の路線に戻そうとしているように思えるんだけど。
だって、独身だしなー。アナクリテス主役の話が読みたいなぁ。

この先どうなろうともわしの色眼鏡には、既にすっごく可愛いワンコの
アナクリテスとして認識されてしまっているので、もうだめさ。
ああん。(←アホの子)

今回もアナクリテスはファルコと親密度をアップさせたい。
ていうかファルコに構ってもらいたくて、気が引きたくて必死ですよ。
だもんで、ファルコの母ちゃんに取り入り、それでも足りないと見れば
ファルコの姉ちゃんにもコナかけますよ。わぁい!
ファルコに胸倉掴まれて怒られたら嬉しいなとか思ってますよ。

ラストのマイアとの秘められたシーンもだね。
多分、マイアとどうこうなりそうになった寝台でワンコはうっかり
「ファルコ……」とか呟いてマイアの逆鱗に触れて寝台から蹴りだされた
のに決まっています。(決めるな)




今日は、おとろしい事件が起きました。
昨夜は、日本平の花火大会でした。友人来たりて花火見しつつ飲み。
たまやーとか言いつつ飲み。どっちが主かは聞いてはいけない。
ともあれ、友はわしが普段買わないような超高い酒を持ってきた。
臥龍梅の 純米大吟醸袋吊り斗瓶雫酒 ってやつ。
平日だったしもったいないねって事でその日は、わしの買った
義侠純米吟醸生原酒を飲んでお開きにしたのだ。
友は、わしの冷蔵庫に臥龍梅を置き酒して帰っていった。土曜日に
飲もうね、ということで。

わしは、臥龍梅が好きだが普段飲むのは純米吟醸袋吊り雫酒ってやつ。
それも冷蔵庫には未開封で一本入っていた。それは、母のもので
お中元に来たワインを入れるため下の冷蔵庫に入らなくなったのを
一時避難させていたものなのだ。

今日仕事から帰って、晩飯時に母曰く。
「あんたの冷蔵庫に入ってる臥龍梅一本私のだからお使いに出したよ」

「うん?」

「なんとか大吟醸って書いてあるやつ持ってったから」

時間が止まりました。泣きたくなりました。つか半分泣きました。
目の前にちゃぶ台があったら返したかもしれません。

「それは、諭吉が飛んでく酒なんじゃーーー!!!
 野口×3じゃ買えん酒なんじゃーーーー!!!!」

「な!!!???」

母もちゃぶ台返したそうな表情になりました。

「なんで、あんたの冷蔵庫にそんな高いもん入ってんねーん!!!」

逆切れされました。しくしく。

臥龍梅が好きな方に差し上げたのが、せめてもの慰めですが。
ラッキー と思うか、軽いご挨拶の割りに高いめなものを貰って困るか
はわからん。

正直、自分で買った酒の銘柄がわからないなら、電話をかけて一言聞いて
くれと思った。始末が悪いのが、限定品で、しかも友の酒だということだ。

夜のゆったりした一時を、狼狽しきった、
「すまん、会社から帰ったら、酒が……酒が!!」とゆーわしの緊急TEL
でかき乱された友よすまぬすまぬ。
さすがに聞いた瞬間の彼女は無言でした。 当然だよ。

むせび泣きながら、酒屋さんに同じもの注文しました。
あって良かったよう(泣) 一本、残っていました。
おお、神様ありがとうございます。感動の涙です。

……でもね、わしが普段飲む酒三本余裕で買えますよ? 哀号。


恵 |MAIL