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2006年11月11日(土) アイルランド問題とは何か 鈴木良平

副題:イギリスとの闘争、そして和平へ  丸善ライブラリー315

図書館で借り。   読了。


IRAって名前ばかり有名なれど、あんまり詳しいこと知らないので
借りてみました。

地図帳で眺める小さい島、アイルランドが不思議な比率で分割されて
いるのは何故なのか、歴史やその国境線にまつわる運動闘争の流れに
ついて述べたもの。

特に誰に肩入れしている、とかどちら側とかなしに客観的に説明
してくれているのかな、と思う。

領土の問題、統治、政治の問題と切り離せないほど複雑に絡み合う
宗教問題ってとても厄介だな、というのが読後の感想です。

宗教人口がそのまま政治勢力に繋がるのは辛いなぁ、と。
「同じ民族でも、宗教が違う」といってもイスラム教徒とキリスト教徒
とかでなくて、カトリックとプロテスタントなんですね。

侵略した英国が悪いとか言ってみても出来ちゃった国境はなくならんし、
簡単じゃないんだなと痛感するのに良い一冊でした。


※本文より抜粋※

『IRA兵士の訓練の手引き』

共和主義者の運動に参加することは、その軍事的、政治的な闘争は
道徳的にも正当化されているという信念――戦いは道徳的に正当化
されていて、アイルランド共和国軍(IRA)は一九一九年の国民議会に
直接繋がる代表者であり、それゆえにIRAはアイルランド共和国の正統な
合法的な政府であるという確固とした信念――によるのである。
……アイルランド共和国軍(IRA)の義勇兵として、軍当局によって
発せられるすべての命令、軍当局によって与えられるすべての活動は、
アイルランド共和国政府の正当な命令であり、合法的な活動であることを
義勇兵は疑うことなく留保することなく、確固として信じなければならない。


アイルランド国民の正統な代表者としてのアイルランド共和国軍は、
外国の占領軍や国内の協力者に対して抵抗の戦いをしていることは、
道徳的に正しいことなのである。正統な政府の命令を実行する際に
すべての義勇兵は道徳的に正当化されているのであり、また道徳的に
正しいと信じなければならない。


義勇兵であることは、軍事的かつ政治的に活動することを伴う。
軍事的な面においては、初期の訓練の後に、義勇兵は数の上では優勢な
敵の部隊に対して、軍事的な解放の戦いをすることが期待されている。
このことは武器や爆発物を使用することを意味する。まず武器の使用に
ついて、義勇兵が武器の使用の訓練を受ける際に、銃は危険であり、その
主要な目的は人間の生命を奪うこと、言いかえれば人を殺すこと、そして
義勇兵は人を殺す訓練をうけているということを充分に理解しなければ
ならない。強い正当性の確信がなければ、銃を取り、人を殺しに出かける
ことは容易なことではない。IRAはその動機において、強い正当性の
確信にもとづいて行動しているのである。
ゲリラ戦争の生活様式について頭に描いたり、想像したりする観念とは
違って、ゲリラ戦争にはロマンティックなもの、楽しいものは一切ない。
潜行的な地下の部隊の生活は極度につらく厳しいものであり、時には
残酷な幻滅を与えるものである。……
義勇兵の志願者は、捕虜になったり、長期間の刑務所暮らしの判決を
受ける恐怖が、現実に非常な脅威であり、すべての義勇兵の上にのし
かかっている影であることを認識しなければならない。



歴史 ウィキペディアに詳しい。
最新の報道など取り扱うブログある。ぐぐると拾える。


・ カトリック処罰法
・ アイルランド
・ 北アイルランド(英国の一部)
・ IRB:アイルランド共和同盟
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・ (1920)アイルランド統治法
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・ ユニオリスト:イギリスへの帰属を求める:プロテスタント
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