夢見る汗牛充棟
DiaryINDEXpastwill


2006年12月04日(月) 世界の合言葉は森 アーシュラ・K・ル・グィン

小尾芙佐/小池美佐子 訳
ハヤカワ文庫

資源ごみの日に捨ててあったのを有難くいただき〜。
表題作他一編。

読了。

◇世界の合言葉は森

タイトル見たときは、エコロジーというのか? 
自然を大切に系の話だと思っていたけれど、そうではなかった。

基本は種族間の闘争。

他の惑星を侵略し、そこの生態系に敬意を払わず、知的生物に対等な
知性を認めず搾取し虐げるだけの人間の恐ろしさ残酷さを 描くに
とどめているならもっと安心して読めたけれど。
思うにそれよりもっとずっと厳しい話だった。

どのような種族の有り様も変質してしまう。不幸な遭遇によって
逃れられなく、変わってしまう。さもきゃ滅べという二者択一を迫る。
滅びないことを選択すれば、嫌でも変る。元の姿には戻れない。
「神がやってくる」という表現はもの凄く絶妙だなと思った。


◇アオサギの眼

こちらも背景は、二者の闘争だった。
こちらは種族ではなく、同じ人間での階級闘争というのか。
シティが上位でシャンティタウンが下位。
で対等な関係を求めて生じる階級闘争。

そして、シティの中では男性上位で、女性は下位でお飾り。
シャンティタウンでは男女同権。

そんな世界で、シティの有力者の娘に生まれた少女の
選択を中心に進む物語。

……やっぱり厳しい話だなと思う。
前作よりは結末に爽やかさがほんのちょっぴり感じられる
かなーと。前向きな分。









恵 |MAIL