夢見る汗牛充棟
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2006年12月05日(火) 修道士カドフェルの出現 エリス・ピーターズ

修道士カドフェルシリーズ 21 光文社文庫

好きなシリーズの最終巻。
購入。読了。

出てすぐ買ったのに、今まで読めなかった。
読んだら終わっちゃうから、惜しい気がして。

短編集。

やっぱりカドフェルシリーズは、眼差しが優しいと思う。
それで読むとけっこうほっとしたりする。
時代背景が殺伐としているのだけれども、必ずそこで暮している
人のしなやかさ、優しさ、温かさ、誇り高さを描いてくれるのが
いいなと思う。騎士には騎士の誇り、職人には職人の誇り。
そうして描かれる人々の姿がすごく好きだ。

今作は、短編集だし、まず頁を開いて思ったのは、
「字でかい〜、行すかすか〜」でした。
短編だからしょうがない。だもんですぐに終わっちゃう。
しくしく。

三作目の意地っ張り似たもの親子がものすごく好きだ。
なんか日本の時代劇とかにも出てきそうな親子。
どちらも不器用で、相手を認めていることを相手には死んでも
悟られるもんか! という信念に基づいていがみあう関係?(笑)

素直じゃなくてでも、でも根底に相手への信頼と愛情があるのは
安心できてとても良いです。



さみしい。これでもうこのシリーズはお終い。
エリス・ピーターズさんは、自分の死後誰も書き継ぐなと遺言
されたそうで、気持ちはわかるような気がしますが、読者としては
すごく残念でなりません。誰か、或いはいろんな人が尊敬と愛情をこめて、
ホームズさんみたいに無数に描かれていいほど素敵な人なのになぁ。


恵 |MAIL