夢見る汗牛充棟
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2007年10月09日(火) イギリス歳時暦 チャールズ・カイトリー

大修館書店 澁谷勉(しぶやつとむ):訳

図書館で借り。

「The Perpetual Almanack of Forklore」
Charles Kightly
Thames and  Hudson Ltd.,London

イギリスの歳時暦。

歳時記:一年のうち、そのおりおりの自然・人事百般のことを記した書。
(広辞苑より)

聖人の祝日・行事・農事・迷信・怪しげな民間療法・呪いの類等いろいろ
載っていて面白い本だった。欲しい。

例えば、10月9日の記事

聖デニス(St.Denis)の祝日
ブタを森林内に放して落ちているブナノキやドングリを食べさせよ。
ただし、牧草地を鼻で掘り返すことがないようにその鼻に輪をはめる。

「ヘレフォードシャーでは寝室用便器の中身を台所くずの中にあけて
ブタに与える。このような混ぜ物をふだんブタに与えておけば、おそらく
しれよりもひどい餌はないだろうから、ブタはそんな種類の餌でも
いやがらずに食べるようになる」
(The Gentleman’s Magazine,1819)


……そんなブタのベーコンを嫌がらずに食べられるのか、の方が
遥かに重要な問題ではないかとー。

面白かった記事 10月14日


日ごとに日暮れが早くなり、ハロウィーンが近づくので魔女に用心せよ

「Berveleyに住むJohn Greencliffeの供述。
先週の土曜日の夜7時頃にElizabeth Robertsが
いつもの衣服に襞襟をつけてわたしの前に現れた。
すると彼女の姿はたちまち見えなくなり、ネコそっくりの姿になって
わたしの足にまつわりつきしばらくの間わたしを苦しめ悩ましてから
消え失せた。このためにわたしは胸がひどく痛んだ。
今週の水曜日にはネコはわたしに飛びかかってきて頭にどすんと当たり
わたしは気を失って倒れた。
気がつくといつもの服を着たエリザベスが塀の上を逃げてゆくのが見えた。
木曜日には彼女はミツバチの姿をして現れわたしの体のあちらこちらに
勢い良く飛びかかってわたしをさんざんに苦しめた。数人の人たちが
わたしをかばってくれたが無駄だった。」
(York Castle 裁判記録 1654年10月)


魅惑の女エリザベスの愛を欲したジョンがまったく相手にされなかったか
内向的過ぎて思いつめちゃったかして妄想大爆発だっただけなのでは?
と思えて大変です。1654年のイギリスのおそらくは妙齢の女性の
服装からして塀の上を逃げていくのは無理だと思うので、このジョンは
もうネコと人間の区別もつかない危険な人です。
ネコが足にまつわりつくのはニオイつけと様子見と挨拶だし、それで
苦しむジョンは「ああエリザベス、ボクの気持ちを知ってるくせにそんな
思わせぶりな仕草でボクにまとわりつく。キミはなんて罪深い魔女なんだ」
とか勝手に悩ましく身悶えるあたり変○というか、彼岸の彼方です。確実に。
ネコに飛び掛られただけで気を失う「あなや」な平安貴族も真っ青の
ヒステリー体質だし。

こんな男に関心を持たれたばかりにエリザベスは哀れにも裁判記録に
名を残すことになったのかと思うにつけ、悲惨だなぁ……と。
火刑になっていないといいですけど。

他の頁にも魔女や魔女裁判に関する記述はちらほら見えました。

隣家の人から「うちの糸車が壊れたのはお宅の奥さんが魔女で
呪文をつかったせいだ!」とか訴えられるの信じがたいです。
言いがかりも極まりますね。隣人は大切です。いろんな意味で。
今もいるもんね、騒音お○さんとかイロンナ人が。

ええと、こんな感じで、その日に関連した様々な記事が興味深く
たいへん面白い本でした。10月は、リンゴ酒をつくる月だそうな。




これとは別に、中世の教会暦とか教会法についての参考書がちょっと
見てみたい。近所の図書館にはなかったので、県立に行ってみるべし。

魔女裁判にもちょっと興味がわきました。
どれほどありえん事例があるのか調べてみたいと思う。





恵 |MAIL