「それ」は目の前で、腕の中からすり抜けた……不器用なこの指先は、その胡蝶の羽を握り潰してしまいそうで、ただ眺めて過ごしてしまう。いつも、いつも……この手の平でなら、羽を休めてくれるだろうか。いつも、いつでも、いつまでも……