「隙 間」

2005年09月17日(土) 東京タワーとあたたかい沈黙……

今夜の「彼」は、ただじっと、立ち尽くしていた。
神社の大祭で繰り出された「お神輿」と囃子の音が「彼」の代わりにつぶやく。
目の前を通り過ぎながら、
「彼だって、キミ一人のものじゃないんだよ?
今夜は僕だって、街のみんなにかつがれてる。彼は毎日、東京のみんなの夜空の下で明かりをともしているんだ。キミの問い掛けの答えは、そのまま答えだと本当は気付いてるんだろう?
一年ぶりに外に出ると、喋り過ぎちゃっていけないや。僕も今夜はもう一回りしなきゃいけない。かついでくれてるみんなの顔をご覧? それが今夜の答えなんじゃない?」
ハッピにねじり鉢巻き。お酒か興奮か、それとも両方か、紅潮した顔が笑ってる。
じいちゃんもばあちゃんも、
おっちゃんもおばちゃんも、
おとうさんもおかあさんも、
ボクもおじょうちゃんも、
みんな、みんなこの場所で暮らしてる。
ここは、あたたかい。
あたたかい、場所。
特別にあたたかい場所。
「ここはなんてあたたかくて、
優しい気持ちになれるのだろう。
今はただ眠ろう、きっといつの日か……」
風の吹く中に出て行くために……。


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