そめいよしのの並木道……。 日が暮れて間もない谷中墓地を通り抜ける。 著名人達の墓石に供えられた花が風に千切れ、舞う。 駐在所の灯りがその光景をほんのり照らす。 犬の散歩やジョギングを楽しむ人と擦れ違い、 やがて並木を抜け、さんさき坂を下ってゆく。 乱歩の曲がり角で足を止め、ふと振り返る……。 下ってきた坂の頂上の、その先には、 鮮やかにほんのりと温かく輝く月の姿。 月から下ってくる坂道のよう。 居待月……。 しばし見上げ、ふと考える。 何を、待つのだろう……。 月明かりに温められた想いがジワジワと湧き上がってくる。 これを、待っていたんだ、きっと……。
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